オーガナイザー
樋坂章博(千葉大院薬)
伊藤清美(武蔵野大薬)
吉門崇(横浜薬大)
薬物服用後の体内動態の解析は制御する要因の定量的理解が特に進んだ領域で、創薬および医療の両方の現場でコンピュータによる予測が一般的になっている。現在はそのモデリングとシミュレーションと呼ばれる技術が薬理学、毒性学へも拡大するに至っている。そのような解析の実績が強調される一方で、薬物体内動態の解析でも未だ合理的に説明できない事象が実は多数残っている。説明できない現象は、その矛盾をスケーリングファクタとして定数を乗じて一見解決されたかのように振る舞うことが習慣化しているが、矛盾の理由を説明できないと本当に予測できていることにならない。理解の不十分さに真摯に向き合う必要がある。
本シンポジウムではそのような観点から、薬物吸収や複雑な相互作用、あるいは脳内分布などのモデリングの難しさが顕在化している研究テーマで最新の進歩について紹介いただき、現状を本質的に進歩させるには何が必要かについて論じる。
(樋坂章博)