オーガナイザー
土肥直貴(静岡県大院薬)
山本彩葉(阪大院薬)
線維化は、心臓、腎臓、肝臓、膵臓など、生体の主要な臓器で好発し、線維化を起こした臓器は最終的に機能不全に陥る。また、癌発生においても線維化は認められ、癌微小環境の構築に関与する。これまで、線維化は不可逆的であると考えられ、治療よりも予防に重点が置かれてきた。しかし、最近、線維化状態が可逆的である事例が次々と報告され、線維化治療の戦略も提示され始めている。
線維化は細胞外マトリクス(ECM)の過剰蓄積により引き起こされる。臓器によりECM分泌細胞は異なり、臓器特異的な線維化メカニズムがある一方で、臓器間で共通のメカニズムも存在する。すなわち、線維化の臓器横断的な理解は、新たな治療法の開発を志向する上で大きな恩恵をもたらす可能性がある。
本シンポジウムでは、多様な臓器におけるECM産生細胞を標的とした線維化研究の最新の研究成果を発表し議論することで、線維化メカニズムの理解を深め、線維化治療の新たなアプローチへとつなげたい。
(土肥直貴)