オーガナイザー
石原康宏(広島大院統合生命)
河野まおり(阪大院薬)
火山や土壌などの自然由来、あるいは産業や交通から排出されるものなど、私たちは環境中の微粒子に囲まれて生活している。微粒子の中でも、粒径2.5μm以下の粒子状物質はPM2.5と総称され、主として呼吸器へのリスクを鑑みてわが国では「1年平均値が15μg/m3以下、1日平均値が35μg/m3以下」との環境基準が定められた。しかし、PM2.5の呼吸器以外への作用については研究が進んでおらず、また環境中にはまだ実態がつかめていない微粒子が存在する。
本シンポジウムでは、まだ研究の手が伸びていない環境中微粒子研究を白日のもとに曝す。すなわち、PM2.5の脳や眼、皮膚への作用、また主に溶接現場で生じるヒュームの健康影響、さらに大気中を浮遊するマイクロプラスチックの動態と生体影響について、最新の研究成果を分かりやすく説明する。
環境中微粒子研究はまだまだ発展途上であるが、新たに取り組むべき課題を炙り出せるようなシンポジウムとし、環境行政や製品開発にどのように応用できるか議論したい。
(石原康宏)