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【日本薬学会第142年会】創薬イノベーションが切り拓く新時代の医療‐25~28日、オンラインで開催

2022年03月23日 (水)

右上から時計回りに組織委員会の森、原、小田、神野の各氏

右上から時計回りに組織委員会の森、原、小田、神野の各氏

 日本薬学会第142年会が25~28日の4日間、「創薬イノベーションが切り拓く新時代の医療」をメインテーマにオンラインで開かれる。名古屋市での開催に向けて準備を進めてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて現地開催をやむなく断念し、オンラインでの開催に切り替えた。一般演題のポスター発表にはバーチャル空間でアバターを用いて会話する仕組みを取り入れるなど、オンラインならではの新たな試みも導入する。

 新型コロナの影響を受け2年前の京都、昨年の広島に続き、3年連続で現地開催は中止となった。昨年12月まではコロナの感染者数は落ち着いていたが、今年1月以降の感染者数の急増によって現地開催を断念せざるを得なくなった。

 組織委員長の森裕二氏(名城大学薬学部分子設計化学教授)は「社会が自粛を強いられている中、医療の一翼を担う薬学という立場で、学会開催によってクラスターを発生させるわけにはいかない」と言及。

 「この2年間、コロナで積極的な学術交流活動ができなかった。その閉塞感を打破するためにもぜひ現地で開催したいと準備を進めてきただけに非常に残念で、惜しくてならない」と語る。

 オンラインでの開催となるが、現地開催と同様の臨場感のある年会になりそうだ。海外の演者も含め特別講演やシンポジウムの講演は全てZoomでのライブ配信で行われる。原脩氏(名城大学薬学部機能分子化学教授)は「海外の演者については来日不可の事態を想定し、現地との時差を考慮した上で予め講演時間を設定してあった」と話す。

 一般演題の口頭発表もZoomのライブ配信で実施する。事前に収録した発表をオンデマンドで流すことはせず、演者はタイムテーブルに沿ってライブで講演する。発表する場所がオンラインという違いだけで、ほかの運用は現地開催と大きく変わりはない。

 一般演題のポスター発表については、新たな試みを取り入れる。特設サイト内に3日間ポスターデータが掲示されるほか、企業等で採用されているバーチャルスペースoViceの仕組みを採用。演者はタイムスケジュールの発表時間内に発表内容を説明し、参加者との対話を行う。

 発表内容の説明には、ポスターデータに加えて動画ファイル等の別資料を自由に使用できる。参加者はアバターでバーチャルスペース内を動き回り、発表者に自由に話しかけることができる。参加者同士の談話も可能だ。

 小田彰史氏(名城大学薬学部生物物理化学教授)は「オンラインならではのことができればと考えて導入した。年会に新しい風を吹かすことができれば」と話す。

 今回の年会のメインテーマは「創薬イノベーションが切り拓く新時代の医療」。森氏は「新型コロナウイルスの感染が世界で拡大する中、今ほど革新的な創薬や新たな治療薬の開発が要請されている時代はない。薬学領域で取り組む創薬技術の開発などの基礎研究が、新時代の医療開発を下支えしている。薬学が果たす役割は大きい」と語る。

 昨年の年会と同様に今回も、新型コロナウイルス感染症に関連する発表が多い。

 特別講演では、ウイルス学の第一人者である河岡義裕氏(東京大学医科学研究所特任教授)が「新興感染症の征圧を目指して」をテーマに講演する。

 シンポジウムでは「感染初期のCOVID-19患者の重症化を防止するための新規生薬エキス製剤の開発と課題」「ポストコロナ時代を見据えた感染症ワクチン研究」「抗ウイルス感染症研究のフロンティア―ウイルス感染症克服に向けた薬学専門分野での挑戦」「コロナ禍で見直される室内環境と健康の大切な関係」の4題が企画された。

 口頭、ポスターの一般演題でもコロナ関係のテーマは99題に達する。

一般演題数は約3100題

 このほか特別講演では、今回の年会を担当する名城大学薬学部が古くから臨床薬学教育に注力していることを反映して、ワクチンと予防接種研究の第一人者で米国薬剤師会前会長のマイケル・D・ホーグ氏(ロマリンダ大学教授)を講師に招いた。藤崎和彦氏(岐阜大医学教育開発研究センター教授)の特別講演「多職種連携に求められる薬剤師のコミュニケーション」もある。

 3題設けられた理事会企画シンポジウムのうち「ブレイクスルーをどう創るのか?」をテーマにしたシンポジウムでは、女性の研究者育成を含め多様性実現に向けた環境作りについて意見が交わされる。

 国際薬剤師・薬学連合(FIP)フォーラムと題して開かれる国際交流シンポジウムでは、FIPが設定する開発目標(DGs)の概要や取り組みが紹介される。また、今回新しい企画としてアジア・太平洋地域の若手研究者の交流を目的とした講演会も行われる。創薬化学の最先端研究として、日本薬学会の化学系薬学部会と医薬化学部会合同の国際交流シンポジウムも設けられている。

 口頭発表とポスター発表を合わせた一般演題数は約3100題。昨年はコロナの影響もあって演題数は落ち込んだが、今回の年会では回復した。

 一般演題数増を背景に7000人以上の参加者数を見込む。参加者増に向けた新たな試みとして、日本医療薬学会のがん専門薬剤師、日本精神薬学会の精神薬学会認定薬剤師の認定制度に必要な受講証明書も発行する予定だ。

 27日には市民公開講座がウインクあいちで14時半から開かれる。ジャーナリストで名城大学教授の池上彰氏が「アフターコロナの日本と世界はどこへ行く」をテーマに講演する。

 神野透人氏(名城大学薬学部衛生化学教授)は「この未曾有の感染症を克服するための医療体制の未来像とその確立に向けた取り組みに関して、分かりやすく解説していただく」と語る。

 関係者へ向けて森氏は「オンライン開催で参加しやすくなるメリットもあるため、ぜひ多くの方に参加してもらいたい。専門分野を超えた幅広い交流を通して、活発な年会になることを期待している」と話している。



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