米製薬大手のメルクは9日(現地時間)、同業の米シェリング・プラウを411億ドル(約4兆円)で買収すると発表した。両社の合計売上高は単純合算で約470億ドル(約4兆6400億円)となり、売上規模では世界4位に躍り出ることになる。製薬大手の再編は、1月に米ファイザーがワイスを買収し、世界トップの巨大製薬企業が誕生したばかりで、製薬企業の世界的な再編劇はさらに激しさを増すことになりそうだ。
買収は、シェリング・プラウが保有する相補的製品のポートフォリオとパイプラインの獲得のみならず、新興国を含めた米国市場以外へのリーチが大きな目的となる。
実際にメルクは、買収によって、早期から後期段階までの候補化合物を倍増させ、第III相試験段階のパイプラインを18化合物までに拡大する。また買収後は、循環器、呼吸器、癌、神経科学、感染症、免疫、ウイメンズヘルスなど、主な治療分野で多様なポートフォリオを構成すると共に、両社製品の新たな併用療法、配合剤を導入し、ライフサイクルマネジメントの機会を追求する考えだ。
また、シェリング・プラウは、米国以外で収益の70%、売上高20億ドル以上を確保しており、米国市場に依存してきたメルクのグローバルリーチをさらに拡大させる狙いがある。これにより、メルクは新興国市場でトップ5入りが視野に入ることになる。合併後の新メルクとして、米国以外の売上高を50%以上にまでに拡大させる方針で、市場低迷が予想される米国依存から脱却し、成長が見込まれる新興国をターゲットに事業展開を進める。
なお、合併後の新会社の会長兼最高経営責任者(CEO)には、メルクのリチャード・T・クラークCEOが就任する予定。