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【ロシュ・ダイアグノスティックス】バイオマーカー開発を本格化‐分子標的薬とのシナジー狙う

2009年3月24日 (火)

yakuji_photo
磯部TD事業部長

 ロシュ・ダイアグノスティックス(RDKK)は、病理検査(TD)事業に新規参入し、個別化医療の取り組みを開始した。1月に米診断薬大手ベンタナの日本法人「ベンタナジャパン」を完全統合し、分子標的治療薬に有効なバイオマーカーの開発を本格化させている。TD事業部長の磯部仁司氏は、本紙の取材に対し、「今年は乳腺マーカーに注力し、ラビットモノクローナル抗体を使った1次抗体試薬、銀を用いた新しいHER2蛋白測定試薬を新発売したい」と述べ、14年度には国内のTD事業で40億円の売上高を目指す考えを明らかにした。今後、ロシュグループの製品群やパイプラインとのシナジーを最大限に生かし、さらなる市場拡大を狙う。

 病理検査は、手術・検査目的に採取した組織を、研究用途で分析するのがほとんどだったが、1998年にHER2蛋白を分子標的とした乳癌治療薬「ハーセプチン」が米国で登場し、ハーセプチンが有効な患者を選択するための病理検査が臨床現場で行われるようになってきた。ハーセプチンの登場は、「臨床現場で役立たない」とされてきた病理検査のエポックメイキングとなった出来事と考えられている。

 その後、次々と新しい分子標的治療薬が登場する中、今年1月には米検査薬企業「ベンタナ」がスイス製薬大手のロシュグループ入りした。買収金額は約3400億円。免疫染色のトップ企業とはいえ、破格の高い評価となった。これは、ロシュの抗体医薬を中心とする製品ポートフォリオやパイプラインと、ベンタナの診断薬開発とのシナジー効果を期待した評価額であり、磯部氏も「ベンタナの価値は、ロシュの製品ポートフォリオ、パイプラインとのコラボレーションによって、バイオマーカーを開発できるところにある」と強調する。

 実際に、特定の蛋白に作用する分子標的治療薬は、有効な患者が限られることから、当初から診断とセットで治療を行うことが前提とされてきた。既に米FDAは、分子標的治療薬の承認に当たっては、そのバイオマーカーを調べる診断薬と同時に申請するよう求めている。日本の医薬品医療機器総合機構もFDAに倣いつつあるという。

 こうした動きを捉えRDKKは、具体的なバイオマーカー開発の動きを加速させている。既に、ロシュグループにとどまらず、他の製薬企業との提携も模索し始めており、分子標的治療薬とバイオマーカー開発の足並みを揃えていく方向にある。

 特に今年、RDKKが最も注力するのは、病理検査の中でも市場の大きいラビットモノクローナル抗体を用いた乳腺マーカー。エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PGR)、HER2蛋白を対象とした1次抗体試薬3製品を新発売する方針だ。いずれも世界標準のマーカーとして普及している製品で、年内には世界標準の乳腺マーカーが日本にも投入されることになる。磯部氏は「今後、乳腺マーカーを突破口として、分子標的抗癌剤とバイオマーカーの開発モデルを胃癌、肺癌にも拡大していきたい」と話している。

 また、銀を用いたHER2蛋白の新しい検出法「SISH」を研究用試薬キットとして発売する。従来、HER2蛋白の検出は、蛍光色素を用いたFISH法が一般的に用いられてきたが、蛍光顕微鏡による観察という煩雑さに加え、蛍光の退色によって、永久標本として保存できない問題があった。

 これに対し、SISH法は、蛍光色素の代わりに銀を用いてHER2蛋白を検出するベンタナの独自技術。組織を観察しながら光学顕微鏡による観察が可能で、スライド標本を永久保存できるのが大きな特徴だ。磯部氏は「SISHは、FISHから入れ替わるべき技術で、特に治験の分野では評価されると思う」と自信を示す。既にSISHは、欧州やアジア、豪州で発売されており、米国でも申請段階にある。国内では、研究用試薬として発売すると共に、診断薬としても承認申請する考え。

 さらに、次世代全自動H&E自動染色システム「シンフォニー」の拡販により、免疫染色のみならず、一般染色の市場にも参入する。磯部氏は「免疫染色分野より市場は小さいが、一般染色は病理検査の原点で、従来のメーカーができなかった付加価値を提供したい」と狙いを語る。

 現在、病理検査市場は約100億円。そのうちベンタナが国内でトップシェアを誇る免疫染色市場は、わずか40億円にとどまるが、バイオマーカーとロシュグループの抗癌剤、パイプラインとのシナジーを考えれば、大きな可能性がある分野でもある。

 今月には、ロシュが米バイオ企業大手「ジェネンテック」を完全子会社化し、バイオ医薬品を中心とする分子標的治療薬の開発がさらに加速することが予想される。こうした追い風を受け、TD事業部では、現在20億円弱の売上高を、2014年度には40億円まで拡大する計画を打ち出す。磯部氏は「周囲からはベンタナの買収額が高すぎると言われているが、それが良かったと評価されるかどうかは、これからの頑張り次第」と気を引き締めている。




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