大阪府北部エリアで、医師に問い合わせを行わなくても事前の合意に基づき院外処方箋の変更調剤を可能とする共通プロトコルの運用が本格的に始まることになった。同エリア内の7市3町にわたる病院数は約80施設、薬局数は約650薬局に上るとされ、全国有数の大規模な共通プロトコルになる。
共通プロトコルの内容は、成分名が同一の銘柄変更や内服薬の剤形変更、アドヒアランス改善を目的とした一包化、残薬を考慮した投与日数調整、週1回投与製剤の連日投与指示の適正化など、変更調剤可能な6項目とされた。
医師、薬局薬剤師の双方に負担となっていた疑義照会を簡素化し、お互いに業務効率化につなげようとの動きは約10年ほど前から進められてきたが、ようやくここまでの規模の合意に辿り着いたという印象だ。
もともと、薬局と近隣クリニックによる口頭での合意に基づく運用はあったようだが、まず地域で薬局と医療機関が1対1で事前協議による合意を締結する動きから始まり、2013年には京都大学病院が「プロトコルに基づく薬物治療管理」(PBPM)の一環として近隣薬局と合意を締結したことが大きな推進力となった。全国各地の病院でプロトコルに基づき疑義照会を簡素化しようという流れが加速し、薬局からの問い合わせに対して医師に代わって病院薬剤部の薬剤師が代行回答する機運も生まれた。
その後、政令指定都市レベルでも基幹病院と薬剤師会が合意するケースが出始め、複数の病院と地域薬剤師会、または基幹病院と大都市の薬剤師会というように、プロトコルの運用は発展を遂げながら規模を拡大しつつあった。その過程では、「国で統一してくれるのが一番ありがたい」との声も現場から聞かれた。
しかし、規模が大きくなるほど対応が難しさを増すのも事実であり、病院ごとに異なる運用を行うことは非効率と認識されつつも、地域ぐるみの合意にまで発展するケースはなかった。
それが今回、大阪で一つの成功例が生まれようとしている。病院とのプロトコル合意に取り組んできた大都市の薬剤師会幹部も「素晴らしい取り組みだ」と歓迎する。既に全国の相当数の地域で、疑義照会を簡素化するプロトコルが運用されており、医師や薬剤師の業務負担軽減につながったとのエビデンスも積み重なっている。
プロトコルの合意が広がりを見せるにつれ、成分名が同一の銘柄変更や内用薬の剤形変更、一包化など、ほぼ共通した項目が各地で合意されている状況も明らかになってきた。その意味では、どの地域においても医師と薬剤師の双方が納得できる標準的な項目は合意できている状況にあると言えるのではないか。
この成功例を全国的なうねりにつなげ、日本の標準的な共通プロトコルへと発展させる足がかりとしてほしい。