河合忠(国際臨床病理センター所長・自治医科大学名誉教授)
健診・保健指導の精度保証は担保されるのか
厚生労働省健康局が進める「健康日本21」の一連の政策の一つとして、去る6月19日に開催された「第2回標準的な健診・保健指導に関する検討会」において、「標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)(案)」が承認された。平成19年度早々には本プログラム確定版が作成され、平成20年度からの実施に備えるという。
その内容は、40歳以上の成人について生活習慣病(メタボリック・シンドローム、内臓脂肪症候群)を予防することを重点目標としている。今後引き続き、75歳以上の健診・保健指導のあり方、65歳074歳の介護予防対象者の健診・保健指導のあり方、40歳以下の健診・保健指導のあり方を検討するとのことである。そのプロジェクトを進める基本的なプロセスは、国が必要な基準を定め、それに遵守して地方自治体が実施する、こととされている。さらに、民間の活力を生かして健診・保健指導の一部をアウトソーシングできる、とされている。それ自体は、決して問題ではない。
しかし、それをビジネス・チャンスとして、さまざまな業者が幅広く参入を準備しており、それらの質をいかに担保し、しかも良質のサービスを継続して提供できる仕組みを決めておく、かである。
「暫定版(案)」では、信頼できる標準物質(国際、国家または国の指定)を使用し、トレーサビリティも含めた充分な精度管理を行う必要があり、全国的な外部精度保証プログラムに参加することを義務付けている。しかし、もう一歩進めて、第三者によるチェックシステム、可能であればISO国際規格に基づく認証/認定プログラム、を義務付ける必要がある。
それは、最近社会問題となっている建築設計、プールなどの安全性で既に経験済みである。国が基準を定めるだけでなく、その基準を満たしていることを継続して第3者機関(公的または民間)による確認する仕組みを導入することが必要であろう。