米食品医薬品局(FDA)は6月30日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの製造メーカーに対し、オミクロン株のBA.4およびBA.5系統を標的に加えた新たなブースター接種用のワクチンの製造を求める声明を発表した。感染力の強いBA.4とBA.5は現在、米国の新規感染例の半数以上を占めている。
FDAのこの声明は、6月28日に開かれたCOVID-19ワクチンに関する独立諮問委員会での討論を受けて発表された。同委員会では、2022年の秋から開始されるブースター接種用のワクチンにオミクロン株の要素を含めることに対し、大多数の委員が賛同の意を示したという。FDAは、この投票結果と、現在入手可能な最良の科学的エビデンスを踏まえた上で、ワクチンの製造メーカーに、現在のワクチンにBA.4およびBA.5のスパイクタンパク質の要素を加えたワクチンを開発するよう求めたと説明している。
ただし、FDAはプライマリーシリーズ用のワクチンの変更は求めていない。FDAはその理由を、FDAが認可したプライマリーシリーズのワクチン接種は、市中に循環している新型コロナウイルス変異株への感染による重症化を防ぐための土台となるものだからだと説明している。
FDA生物製剤評価研究センター(CBER)のPeter Marks氏は、「秋から冬にかけてCOVID-19の重症化を防ぐには、現在流行している株や新たに出現する変異株を防御できる、安全かつ有効なブースター接種用のワクチンを用意することが重要だ。各ワクチンメーカーはすでに、オミクロン株BA.1系統を標的とした改良ワクチンの臨床試験データを報告している。われわれは、BA.4およびBA.5系統にも有効なワクチンの承認に向けて、これらのデータを事前にFDAに提出するよう助言した。それと同時に、改良ワクチンの臨床試験の開始も求める予定だ。このデータは、今後パンデミックがさらに進展した際に有用となるはずだ」と述べている。
ニューヨークタイムズ紙は、ファイザー社とモデルナ社では、再設計したワクチンの製造をこの夏にも開始することが予想されると報じている。専門家パネル会議でファイザー社は、新しいワクチンは10月初旬に利用可能になる見込みだと述べている。一方、モデルナ社は、同様のワクチンが利用可能になるのは10月後半ないし11月初旬だとしている。再設計後のワクチンの製造には、両社とも約3カ月かかるという。(HealthDay News 2022年6月30日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-recommends-inclusion-omicron-ba45-component-covid-19-vaccine-booster