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米食品医薬品局(FDA)は7月13日、18歳以上を対象に、ノババックス社が開発した新型コロナワクチンに緊急使用許可(EUA)を与えたことを発表した。この承認を受けて、米国で利用できる新型コロナワクチンは4種類となった。
FDA長官のRobert Califf氏は、「今回のEUAを受け、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院や死亡を防ぐための新たな手段がまた一つ増えた。また、いまだにワクチンを接種していない米国人にとっては、この許可により、FDAの厳格な基準を満たした安全のための選択肢が新たにもたらされることになる」と述べている。
ノババックス社製の新型コロナワクチンは「組換えタンパクワクチン」と呼ばれるタイプのもので、プライマリーシリーズとして3週間の間隔をあけて2回接種する。ワクチンには、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードする遺伝子の情報を基に昆虫細胞を用いて作った組換えタンパク質と、免疫反応を促進する、キラヤ科の植物の樹皮から抽出した免疫反応増強用のMatrix-Mアジュバントが含まれている。
今回の承認にあたりFDAは、入手できる安全性と有効性に関するデータおよび製造情報の徹底的な分析と評価を行ったとしている。有効性については、現在進行中の臨床試験のデータを用いて評価が行われた。同試験では、2回目のワクチン接種後6日間に新型コロナウイルスへの感染が確認されなかった18歳以上のワクチン接種者約1万7,200人とプラセボ接種者約8,300人を対象にしたもの。軽症〜重症のCOVID-19予防に対するワクチンの有効性は90.4%であり、感染例はワクチン接種群で17例、プラセボ接種群で79例だった。感染例のうち、中等症〜重症例は、ワクチン接種群では認められなかったのに対し、プラセボ群では中等症例が9例、重症例が4例認められた。
安全性については、約2万6,000人のワクチン接種者と約2万5,000人のプラセボ接種者を対象にした臨床試験で確認された。ワクチン接種者で最も頻繁に報告された副反応は、痛み/圧痛、注射部位の皮膚の赤みや腫れ、倦怠感、筋肉痛、頭痛、関節痛、嘔気/嘔吐、発熱であった。
同ワクチンに関する医療機関向けのファクトシートには、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎のリスクが上昇する可能性のあることを示すエビデンスが臨床試験により得られているとの警告が含まれている。また、ワクチン接種者とその介護者向けのファクトシートには、心筋炎や心膜炎が生じた患者では、たいていの場合、接種後10日以内に胸痛や息切れなどの症状が出現しているとし、これらの症状が現れた人はすぐに医師の診察を受けるべきことが記されている。
なお、ノババックス社製のワクチンは、プライマリーシリーズ用のワクチンとしての使用が許可されているため、すでに承認されている別のワクチンを接種した人が、ブースター接種としてこのワクチンを接種することはできない。ただし、同社は近いうちに、ブースター接種の認可も申請する予定であるとしている。(HealthDay News 2022年7月14日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-authorizes-emergency-use-novavax-covid-19-vaccine-adjuvanted