新型コロナウイルス感染症は、変異を続けて第6波を上回る速度で急拡大しており、1日当たり感染者数が20万人を超えるなど第7波のピークは未だに見えていない。
レベル判断に用いる指標である確保病床使用率は19日現在、全国で37.2%だが、都道府県別で見ると、和歌山73.7%、沖縄68.2%、熊本54.9%が50%を超えていて危機的な状況にある。重症患者用の確保病床使用率では全国が18.9%だが、東京は47.9%と危険レベルに近づいている。
コロナ感染患者以外の患者を救うためにも、医療提供体制の崩壊だけは防がなければならない。医療関係者の日々の努力に感謝しつつ、国民自らがワクチン接種や基本的感染防止策を励行することが求められる。
コロナ対策に追われている最中、サル痘が世界的な課題として浮上してきた。日本で4類感染症に指定されているサル痘の病原体は、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属サル痘ウイルスである。潜伏期間は7~14日、最大5~21日とされ、発疹が消失するまで感染の可能性があるという。
政府は25日に「サル痘に関する関係省庁対策会議」の初会合を開催した。サル痘の感染拡大について、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言したことを受け、日本政府の当面の措置として、各種の情報収集、国民の罹患防止策、受診方法、患者発生した場合の検査体制、受け入れ体制の準備を進めることを確認した。
ところが同日、厚生労働省は、日本国内で初のサル痘患者発生確認が東京都から報告されたことを公表した。政府は即応し、翌26日には第2回会合を開催し、「患者の治療、接触者の把握と当該接触者へのワクチンの投与等の感染拡大防止に万全を期す」「感染を防止すると共に、国民の不安や心配に対応するため、サル痘ウイルスの感染力や病原性、感染経路、感染防止策、感染が疑われる際の受診方法や治療方法等について、新型コロナウイルス感染症との違いを明確にし、的確かつ分かりやすい情報発信を行う」ことなど4事項の措置を講じることを確認した。
サル痘に関連して、きょう29日に開催予定の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で、KMバイオロジクスの「乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16『KMB』」について、サル痘予防を効能・効果に追加する一部変更承認について審議予定である。
サル痘に対する比較的迅速なこれらの対応を見ていると、新型コロナでの経験が反映されていると感じられる。これからも、既知・未知の感染症が発生、流行することは間違いない。国、自治体、医療・医薬関係者は、脅威となる感染症への万全な備えと、実効ある対策の実施が求められている。