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コロナ薬供給へ薬局支援継続を

2022年08月05日 (金)

 7月中旬以降、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大によって、全国的に「第7波」が押し寄せている。7月末の厚生労働省の発表によると、感染に伴う自宅療養者数は、全国で初めて100万人を突破した。こうした中、独自の対応を進める地方自治体も出ている。

 直近の感染者数の増加を受けて、大阪府は7月27日、医療提供体制の逼迫を判断する府独自の指標である大阪モデルの非常事態(赤信号点灯)に移行。検査・医療提供体制の逼迫を踏まえ、医療非常事態宣言を発出した。今月27日までの1カ月間、医療関係者や府民などに対して、基本的な感染予防対策の徹底を求めている。

 府が示した対応策の中では、陽性者のほとんどが自宅療養であることを踏まえ、その支援の充実としてオンライン診療・薬剤処方の強化も示された。「夜間・休日専用オンライン診療受付センター」を設置し、診療や24時間の薬剤配送体制を整備しているという。

 府によると、医療機関からの処方箋に基づき、府下の保険薬局1018カ所で抗ウイルス薬や解熱剤などをバイク便等で24時間配送するとされている。

 府が示した薬局数は、昨年末に承認された経口抗ウイルス薬「ラゲブリオ」の対応薬局で、厚労省が供給を委託した製造販売業者が開設する「登録センター」に登録している薬局に当たる。

 薬局から患者が療養する自宅や宿泊施設に医薬品を届けるためには、それなりのコストがかかる。これらを支援するため、国が補正予算を活用し、2020年度から各都道府県薬剤師会への直接執行の形で「薬局における自宅療養等の患者に対する薬剤交付支援事業」として配送料などの支援が行われている。当初は今年2月配送分までが支援の対象だったが、3月以降も支援が継続されている。

 ただ、3月1日以降の事業は、オンライン服薬指導などを行った自宅・宿泊療養の患者のみが対象で、薬剤師が直接届けた場合は対象外となっている。薬局従業員が届けた際には交通費、配送業者を活用した場合は配送料などの実費が補助の対象で、事業終了予定期日は来年3月末までとなっている。

 しかし、足下の感染急拡大で、配送などの件数が一気に増加したこともあり、同事業の予算を超えることが見込まれ、事業の終了を余儀なくされる薬剤師会も出てきているようだ。

 新型コロナ感染症患者の医療費は、基本的に公費で負担されている。自宅等で療養する患者に対して、薬剤を届けるコストを請求することは難しく、ともすれば薬局側がそのコストを負担することになりかねない。

 新型コロナが収束するまでの間、感染者に対して必要な医薬品を安定的に供給するためにも、薬局に対する支援策の継続は必要不可欠だ。



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