第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会副会長
渡邊大記
宮城県薬剤師会常任理事
斉藤正典
2022年5月17日「医療DX令和ビジョン2030」と題した提言がなされた。日本の医療分野の情報のあり方を根本から解決するための提言であるとされている。データヘルス改革において、まず大規模な健康・医療・介護の分野を有機的に連結したICTインフラとして稼働したのが、オンライン資格確認等システムである。これにより、ほぼ全ての保険薬局がつながり得る基盤が整備されたが、来年4月には本システムの導入を原則として義務化するとされた。そして、この基盤を活用して来年1月から運用が開始される電子処方箋の仕組みも、3月末には当該システムを導入した施設の7割程度とする導入目標が示された。
現在、オンライン資格確認等システムでは患者同意のもとで確認可能な情報として薬剤情報や特定健診情報があるが、今後はこれらの確認できる情報もさらなる拡充が図られていくことが示されている。これらの医療全般にわたる情報に介護も含めて共有・交換していくことを目的として、冒頭で紹介したビジョンにおいては「全国医療情報プラットフォーム」の創設も謳われている。
合わせて同ビジョンでは「電子カルテ情報の標準化等」「診療報酬改定DX」の推進等が盛り込まれている。一方で、個人が所有するスマートフォン等には、マイナンバーカードに紐づいたマイナポータル上で閲覧可能な情報が拡充されると共に、一般的に使用可能な健康アプリやウェアラブルデバイスによる情報が格納されることも増えてくるだろう。また、治療においても、デジタルメディスンが臨床使用されてくるなど、広い視野で医療DXを捉えておく必要がある。
本分科会では加速化している医療DXにおいて、行政の立場から進めようとしているビジョンを紹介していただき、そのような方向性の中で薬剤師・薬局の業務はどのような変化が生じ、またそれにどう対応していくべきなのか、医療DXについての見解を共有し、今後の方向性について理解を深める。
これらを紹介した後には時間の許す限りご参加の先生方と共にディスカッションを行い、それぞれの現場で検討していくための知識を得る機会となることを望んでいる。
(渡邊大記)