第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会常務理事
富永孝治
宮城県薬剤師会
星忠寿
2年半以上にも及ぶ新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの学校で教育活動が従来通り実施できないという問題に直面してきた。さらにクラスター発生による休校や学級閉鎖などで教育の機会が失われている上、感染を恐れるあまり登校を長期にわたって控えたり、欠席したりする児童生徒らも存在するという。一方、児童生徒らを取り巻く問題は近年ますます多様化、複雑化しており、学校内だけでなく学外の様々な立場の人々が専門性を生かして連携し、協力して支援していくことが求められている。
このような状況下で学校薬剤師は、各学校において新型コロナウイルス感染およびその拡大リスクをできる限り低減させながら教育活動を実施し、児童生徒らの健やかな学びを保障するため、学校が取り組むべき感染防止対策と児童生徒らの将来を左右する健康教育について協議することが求められる。また、新型コロナウイルス感染症を含む新興感染症について正しい知識と有効な感染対策を児童生徒らに伝え、児童生徒ら自身もコロナをむやみに恐れずに正しい情報を理解した上で感染拡大防止に取り組むことが必要である。
この2年半の間に、文部科学省などから学校における新興感染症に関するガイドラインやマニュアルなどが多数作成された。また多くの学校でも感染防止に配慮しながらの教育活動を行い、教育の質を担保するための様々な取り組みが実施された。
本分科会では最初に、行政が目指す新型コロナウイルス感染症に対応した保健教育・保健管理のあり方について発表していただく。続けて、全国の学校で取り組まれた感染対策の好事例や、コロナ禍の中でも行われた薬物乱用防止教育などの健康教育、性教育などについても発表していただき、最後に総合討論を行う。
本分科会での新興感染症対策事例や教育活動などを参考に、学校薬剤師が支援する健康教育について議論を深め、全国の学校における教育の質が向上されることを願う。ひいては子供らが幸せな生活を送る未来への一助となれば幸いである。
(富永孝治)