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【医薬翻訳におけるAIの現状と課題】翻訳センター

2022年10月17日 (月)

製薬カスタムモデルを提供‐臨床分野の翻訳精度に自信

武山氏

武山氏

 翻訳センターは、製薬業界専門の機械翻訳モデル「COTOHA Translator 製薬カスタムモデル」の提供を行っている。製薬企業の多くが、規制当局への申請文書作成などに多大な時間を費やしていることから、医薬翻訳に特化した機械翻訳をNTTコミュニケーションズ、みらい翻訳と共同開発した。翻訳業務にかかる時間の短縮、翻訳精度の向上につなげている。今後は、非臨床、CMC分野での翻訳精度をさらにブラッシュアップさせ、製薬企業のほか、医療機器業界やその他の研究機関への導入拡大を図る。

 同社は、NTTコミュニケーションズ、みらい翻訳と12社の製薬企業と共同して「製薬カスタムモデル」を約2年かけて開発した。当初は12社だったプロジェクト参画企業は、現在では22社まで拡大。新薬開発企業のほか、ジェネリック医薬品企業などからの引き合いもあるという。

 「製薬カスタムモデル」は、プロジェクト参画企業から収集した翻訳データに独自処理を施してコーパス化したものを機械翻訳にモデル学習させ、そのプラットフォームをNTTコミュニケーションズから参画企業に提供するという仕組みで運用されている。

 取締役営業統括の武山佳憲氏は「一般には公開されない医薬品開発文書の翻訳データを中心に学習させており、従来の機械翻訳サービスと比べて、薬剤、化合物に関する用語、研究開発に関わる文書特有の言い回しや構成など、新薬開発の現場で必要とされる翻訳精度には自信を持っている。特に臨床分野の適正率は非常に高い」と「製薬カスタムモデル」の性能の高さを強調する。

 また同社では「製薬カスタムモデル」を提供するだけでなく、利用者のサポートや効果的な利用方法のアドバイスなど、参画企業の業務フローへの定着化支援も担う。

 医薬品開発文書に限らず、日常の様々な場面で生じる翻訳業務を「製薬カスタムモデル」が代替することで、業務を効率化、短縮化できる。

 加えて同社に、機械翻訳から出力された訳文を人間の翻訳者が手直しする作業であるポスト・エディットを依頼することで翻訳データがさらに収集・蓄積されていくため、参画企業は将来的に導入時より精度の高いモデルが利用可能になるという。

 セキュリティ面についても、製薬企業から翻訳データを受け取る際は、顧客指定のクラウドストレージの使用やデータの暗号化などの対策を講じている。また、翻訳データの分析、処理を行う際は顧客名、化合物名、薬剤名などをマスキングし、個社特定につながる情報を秘匿化し、情報漏洩にも細心の注意を払っている。

 同社は、将来的な展望について、現モデルのさらなる翻訳精度向上に加え、音声翻訳などへの活用も視野に入れている。

 武山氏は「DX化推進のカギは、ITツールを導入するだけではなく、その先の活用と定着化へ向けた体制や環境作りにあると考える。『製薬カスタムモデル』はそれらの課題解決を力強く後押しするサービスだと自負している。一社でも多くの製薬企業に、業務効率の向上策として『製薬カスタムモデル』の導入を検討していただきたい」と述べ、同プロジェクトへの参画を呼びかけている。

翻訳センター
https://www.honyakuctr.com/



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