「PVリンク」にクラウドモデル

宮本氏
キヤノンITソリューションズは、昨年8月に製薬企業の安全性情報進捗管理システム「PVリンク・レポート・マネージャーCloud」をリリースし、導入が拡大し始めている。クラウド化により、従来の「PVリンク・レポート・マネージャー」からサーバーのOS更新の手間を減らし、さらにセキュリティ・関連システムの強化を進めたことで、より円滑な運用が可能になった点が注目されているようだ。ビジネスソリューション統括本部EDIソリューション営業本部の宮本伸男氏は、「セキュリティに伴う環境変化への対応ということを考えて、今回のクラウドモデルの提供に至った。MRからの安全性情報提供の基地局になるような形で、今後サービスを展開していきたい」とさらなる導入拡大へ意欲を示す。
MRの業務のうち、安全性情報の収集は、いかに早く、正確に情報を安全管理部門に伝達できるかが重要なファクターの一つ。そこで同社は、MRから安全管理部門への副作用報告をスマートデバイスによる写真送付で可能としたMR向け副作用報告支援システム「PVリンク・カメラ・レポート」を2017年に発売した。
同システムでは、第一報連絡票など、従来はFAX送信等で報告を行っていた書類を写真に納め、自動でPDFファイルに変換して副作用報告に使用する。複数の写真も結合し、一つのデータとして処理することが可能であり、円滑かつ迅速な副作用報告につながるシステムとなっている。
18年には、安全性情報進捗管理システム「PVリンク・レポート・マネージャー」をリリースし、MRによる安全性情報報告から安全管理部門による受付・評価に必要な機能を標準化して搭載。個別のシステム開発にかかる時間やコストを短縮化し、安全性情報管理にかかる業務の効率化を進めた。
今回リリースした「PVリンク・レポート・マネージャーCloud」は、ソフトウェアパッケージの購入やインストールをせずに、「PVリンク・レポート・マネージャー」の機能を使うことができるクラウドモデル。「PVリンク・カメラ・レポート」のスマホカメラ撮影機能をはじめ、従来のシステムからセキュリティ・関連システムの連携が強化され、導入にかかる期間も半減した。基本機能にはウェブ報告、進捗管理、ICSR出力、システム利用者への権限付与、メールの一元管理、監査証跡などがある。
MRが主に使うウェブ報告機能では、安全管理部門への報告書等をウェブ画面上の質問に回答しながらまとめることが可能となる。回答を送信する前に過不足や不整合な情報がないか入力チェックが行われるため、MRと安全管理部門の報告事項に関する齟齬を事前に防ぐことができる。
スマートデバイスでの報告にも対応しており、その場で収集した情報を事業所などに戻ることなく、迅速かつ正確に伝達することができる。
宮本氏は「製薬企業は、コロナ禍でMRによる安全性情報の収集が一時的に減少したことで、MRがいたからこそ、医師だけでは対応できない膨大な範囲の安全性情報を収集することができていたと分かったと思う。そこでMRの重要性を改めて実感しているのではないか」との見方を示す。
その上で「MRの多くが医療機関、関係者としっかりと信頼を築いていたからこそ集められた情報は少なくないはずだ。だからこそ、PVリンクシリーズの提供を通じて、報告から管理までのさらなる効率化に貢献していきたい」と語った。
キヤノンITソリューションズ
https://www.canon-its.co.jp/solution/pharma/