先読みできるMRを育成
アポプラスステーションは、国の医療政策、地域医療計画、診療報酬・流通政策・薬価制度など、医療業界を取り巻く環境変化の背景を熟知した上で医療従事者とコミュニケーションを図り、情報収集・提供活動が行えるMRの育成に取り組み始めた。地域医療や医療制度の動きは医業経営、医療従事者の診療に影響を与え、気にかける医療従事者が多い一方、それらを意識していたMRは多くはなかった。そこで同社は、これまで注力してきた疾患、スキルの教育に医療政策や地域医療、医療制度への理解を深めることで、より効果的なMR活動にしたいと考えた。同社の掲げる「プロフェッショナルMR」のブラッシュアップを図る。
同社は、MRにこだわり、CSOならではのMRの育成に注力している。教育研修部は30人体制と手厚く、教育研修重視の姿勢が表れている。MR像としては「医療従事者としてのマインド」と「営業職としてのマインド」を兼ね備えたMRを描く。
そのため、▽疾患知識を習得する「APSCOLLEGE」▽成果を出すためのスキルを身に付ける「基本活動6項目」――の二つをMR育成の中心に置いてきた。加えて、1年前から医療政策、地域医療の動向がMR活動に及ぼす影響が大きいと判断し、一歩先を行くMR活動に結び付ける「APSSTUDY PLUSforMR」(MR勉強会)に取り組み始めた。
地域医療計画、地域医療構想の読み方、地域包括ケアシステム、医療費助成制度、フォーミュラリ、診療報酬制度、薬価制度、医薬品流通、薬事制度、医師の働き方改革、タスクシフトなど、内容だけではなく制度、施策の背景まで学ぶ。
CSO事業部の小宮慎介オペレーション部長は、「先行きが不透明な時代、これからのMR活動は業界変化をどう捉えるかが重要になってくる。そのためには医療政策・地域医療計画、医療制度などを知る必要がある。行政の動きは数年後の地域の医療機関、医療従事者、患者さんにも影響し、現場のMRがどう読み取れるのか重要になる。しかし、MRとディスカッションする中で、業界変化の捉え方にバラツキがあることが分かった。プライマリー、スペシ
ャリティの全ての領域でMR活動をするCSOならではのMRとは何かを考えていくと、医療政策や制度、担当エリアの地域医療計画を読み取れるような教育機会が必要だと考えた」と導入理由を説明。「医療政策、地域医療計画、医療現場の動きが見えてくると、提供する情報の厚みが出てくるはず」と、自社のMR活動の質向上につながることに期待を寄せている。
勉強会はMRの勤務時間外に行われ、自由参加だが、参加率は7~8割に上るという。必要性がMRにも理解されていることがうかがえる。
これは同社の中期経営計画(2022~26年度)に掲げる「高付加価値のコントラクトMRの創出」の一環だ。言い換えれば、「MRの質向上であり、医療現場から求められるMR、一歩先ゆくMRの創出だ」と、八所孝志取締役CSO事業部長は解説する。
全MR数が減っていく中で、MR活動が量から質に転換しており、今後はさらに一定水準以上の活動ができるMRが求められるとの見立てが背景にある。
八所氏は、製薬企業担当者に「われわれが投資するところは、何よりMR。単なる知識教育ではなく、背景まで含めて自ら学ぶ姿勢を持つMRの育成に向け教育研修にしっかり取り組み、MRの質の向上を図り、存在意義を示せる活動ができるMRを創出していく」と、メッセージを送る。
アポプラスステーション
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