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【変わりゆく医薬品情報提供】医学アカデミー YTL事業部

2022年10月28日 (金)

患者視点での選択肢を育成

左から米山氏、土井氏

左から米山氏、土井氏

 医学アカデミー薬ゼミトータルラーニング(YTL)事業部は、製薬業界全体のペイシェント・セントリシティ(患者中心)の考え方の浸透に伴い、医師の思考に沿ったコンテンツから、ペイシェント・セントリシティの考え方に沿ったコンテンツの開発に移行している。患者支援を行う団体のピーペックと共同開発している「患者様から伝えるプログラム」や「症例ドリル」などの作成を行い、徐々に引き合いが増えている。YTL事業部の米山博士氏は、「MRが活動をする上で医師だけでなく、患者の思考を学ぶことができるコンテンツとなっている。医師との面談時に患者視点での選択肢を知っていることはMRにとって大きな強みとなる」と話し、同プログラムの意義を強調する。

 YTLは製薬企業、薬剤師、登録販売者などの人材育成を講師派遣や教材の提供で支援してきた。eラーニングコンテンツでは医師の思考を学ぶ「症例ディスカッション」などのコンテンツの提供を通じて、MRの知見を養う教育や研修活動を行っている。

 しかし、最近では製薬業界全体でペイシェント・セントリシティの考え方が強く意識されるようになったことから、患者思考を学ぶことができるコンテンツを増やしている。

 「症例ドリル」は昨年末から提供を始め、一つの症例で注目すべき点や処方意図について複数の医師から解説が行われているコンテンツ。同一の病名、ステージであっても治療を受ける患者の背景に応じて医師が選択する処方は異なる。

 同コンテンツは、特定の疾患を持った症例において、年齢や家族構成、既往歴などの患者情報を踏まえ、それぞれの医師が診察、検査、診断で注目すべき点や、それぞれの患者に適した処方内容を解説映像としてまとめている。

 MRが医師と症例ベースの面談を行う際、医師によって治療方針や注目するポイントは異なるため、同コンテンツで様々な症例での治療選択肢を学ぶことで、症例に合った提案力を身につける。

 同コンテンツは現在、八つの癌種で作成している。今後は自己免疫疾患、希少疾患などの領域のコンテンツを増やすことを目指している。

 また、より患者の気持ちなどに目を向けたコンテンツとして「患者様から伝えるプログラム」をピーペックと共同して作成している。

 YTLが企業ごとの要望に合わせた疾患を持つ患者へのインタビュー動画教材を作成し、その後にYTL・ピーペック・企業の3者と患者でワークショップ研修を実施。研修後は、研修に参加したMRへ患者本人からのフォローアップも検討している。

 動画教材は、患者本人の言葉で診断されるまで、治療している最中、現在の困りごとや展望を語る様子が映されている。MRは動画を見ることで、患者がどのような対応を欲していたのか、どのような選択が役に立ったのかを具体的に学ぶことができる。

 さらに、その後に患者とのワークショップを行うことで、MRは「教材での学び」と「対面での学び」の2段階の研修を経て、患者の思考を理解した提案をできる存在へと成長する。

 YTL事業部の土井勇人氏は、「MRは患者を主語として医師と話してほしいという要望を持っている。医療現場では、薬の特徴だけを説明するのではなく、医師の思考や患者の悩みに寄り添った情報の収集や提供が求められている」と述べ、同プログラムがニーズに応えるものになっていることをアピールする。

 YTLは12月中に製薬企業に向け「患者様から伝えるプログラム」などの教材を体験する機会をセミナー開催等で提供する予定。

 米山氏は「今年度は、患者ごとの症例やペイシェント・セントリシティをサポートできるツールの開発にさらに力を入れ、MRの学習を支援していきたい」と意気込みを語った。

医学アカデミー 薬ゼミトータルラーニング事業部
http://www.ytl.jp/



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