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耐性菌対策、薬剤師の活躍がカギ

2016年7月1日 (金)

 抗菌薬が効かない薬剤耐性菌への取り組みが世界的に見直されつつある。きっかけは、昨年5月の世界保健機関(WHO)総会で薬剤耐性に関する国際行動計画が採択され、加盟各国に行動計画の策定を促したことだ。日本政府も抗菌薬使用量を減らすことなどを盛り込んだアクションプランを4月に発表した。

 アクションプランでは、安易に抗菌薬を使わないよう適正使用を徹底していく施策が打ち出されている。公的なガイドライン整備や抗菌薬使用量と薬剤耐性の監視を行うとしたほか、かぜ症候群の患者に処方する抗菌薬の規制検討、薬剤師の活用に関する調査研究の実施も盛り込み、あらゆる角度から抗菌薬使用を見直す方向性が示された。

 アカデミア側からも、日本化学療法学会、日本感染症学会、日本薬学会など医学・薬学系8学会が動き、抗菌薬の適正使用を支援するための提言を発表。8学会が主張したのは、抗菌薬適正使用を支援するための組織づくりやプログラム整備の必要性だ。その中で、抗菌薬適正使用支援の中心となるべき薬剤師の育成について、日本の病院数に比べて専門的な知識を有する認定・専門薬剤師が不足している課題が指摘され、薬剤師の育成をはじめ支援体制づくりを進めるよう求めている。

 もっとも、感染制御チームの一員として、既に薬剤師による耐性菌の発生防止を含めた感染対策の活動は定着している。感染制御専門薬剤師は200人以上、感染制御認定薬剤師は800人以上と、人員も充実してきた。それでも、抗菌薬適正使用支援の中心となるべき薬剤師が不足しているというのがアカデミア側の認識であり、国の方針でも薬剤師の活用について調査研究を行うとされている。

 耐性菌対策に力を発揮する専門的な薬剤師がもっと必要であるという認識に加え、そのほかに薬剤師が活躍できる場があるとの期待感から、新たな研究を進めていくのだと理解したい。

 その意味で、三重大学病院副薬剤部長の村木優一氏らの研究グループが「抗菌薬使用動向調査システム」を活用し、全国の抗菌薬適正使用を推進するための指標になるデータを集めている薬剤師主導の研究は注目される。

 成果の一例として、診療報酬の感染防止対策加算を算定できていない病院は算定病院に比べ、抗菌薬が適正に使われていない可能性がある傾向を見出したことは本紙でも紹介した。こうした分析データを参考にすることで、専門スタッフは不足していないか、抗菌薬の1日投与量や投与期間は正しいのかなど、各病院の対策に生かすことができる。

 グローバルでの大きな動きから国内の取り組み強化につながり、耐性菌対策への関心はかつてなく高まっている。国レベルのトップダウンの施策は打ち出された。今後は、日常的なチーム医療における現場からの取り組みをボトムアップで発信し、その結果、やはり抗菌薬の適正使用支援の中心は薬剤師であると社会に認めてもらえるようにアピールしてほしい。




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