オーガナイザー
長谷川潤(神戸薬大)
水谷健一(神戸学院大院薬)
ヒトの体を構成する全ての細胞は、生存のために酸素と栄養分を必要とし、それらは全身を網羅する血管によって供給される。16世紀のWilliam Harveyによる血液循環の発見以来、長らく血管はこうした「生命維持のための管」であり、健康な成体においては安定な組織であると信じられてきた。一方、ヒトの体が健康を保つためには、外部環境の変化や体内の様々な状況に応じて臨機応変に調節を行う必要がある。近年の研究は、安定な組織であると信じられてきた血管が、体の必要に応じて動的に変化し、単なる管を超えた多様な働きを示すことを明らかにしてきた。
本シンポジウムでは、こうした血管の新たな機能やダイナミクスが、ヒトの健康維持にどのように役立っているのか、疾病治療にどのように応用され得るのかについて、血管研究の第一線の先生方に最新の研究成果を紹介していただき、今後の血管研究の方向性を議論したい。
(長谷川潤)