AI活用しスキルを可視化

堀氏
主に製薬企業に対する教育コンサルティングを行うリープは、MRや所長のスキル評価・分析サービスを強化し、AIを活用して現場でのディテール内容を分析、スキルレベルを可視化するサービスに加えて、戦略実行度を調査するサービスを今年から本格展開した。すでに内外資8社が導入している。
同社は、主力サービスであるMRのスキル評価・学習支援を行うプログラム「SkillPalette(スキルパレット)」を活用し、ロールプレイ研修に基づく組織や個人の評価・分析、改善案を提示してきた。さらに、学んだことの現場での実践について評価・分析を求める声に応え、今回の新サービスを開発した。現場での行動変容を促すのが狙いだ。
新サービスでは、顧客メーカー側で医師ら関係者の了解を得た上で実際のディテール場面や指導場面の録画データを、同社が提供を受け、映像を解析し、評価項目に沿ってスキルの程度を可視化する。対話内容も分析し、ディテールインパクトのある行動を提示する。
具体的には、対話内容の論証力を分析するAIエンジン「KOTORI」で、対話のロジックなどを分析。自然言語処理技術により動画、音声データを解析し、対話内容も有効性情報と安全性情報のバランス、患者ニーズの引き出しの有無などもデータ化する。さらに同社のデータの調査・分析の専門家が、AIの見落としや不十分なところを精査し、最終的に評価責任者が確定する。
MRのスキル育成には、現場での営業所長による指導の影響も大きいとして、実際の指導場面の録画映像から対話内容を分析し、フィードバックすることも行っている。
企業は最も成果につながるポイントをエビデンスをもって知ることができる。MR・営業所長にとっては、強みも弱みも可視化され、行動を変えるポイントも提示され、すぐに改善しやすい。
同社は、評価・分析結果を踏まえ教育研修をどう行うのかということもワンセットで提案しており、トレーナー育成、教育研修プログラムの策定も行っている。
eラーニングを設計する技術もあり「スキルパレット」に学習コンテンツを載せて提供することも可能だ。「スキルパレット」には、組織や個人の評価・分析結果をフィードバックするダッシュボード機能に加え、トレーニング動画視聴や事例共有など相互学習を促進する学習機能も搭載する。
他方、2026年度に実施予定の新たなMR認定制度に対応する予定はあるのか。堀貴史代表取締役は、「連動した対応は考えていない」とした上で、「今回の改革は、実務ベースの能力の育成を強化する内容と理解している。そこで求められるのはMRのあるべき姿に合わせた育成方法を各社の全体戦略に合わせて作り、実行をチェックすること。私どものサービスはその受け皿になり得るのではないか」と話す。
最後にメッセージをいただいた。「私たちは、先生に価値を提供し、さらにその先の患者様にまでしっかりと価値を届けられるMRの育成を支援したい。各社とも全体戦略があって、その中でMRの役割をどう位置付けて育てていくかが重要であり、その点、私たちとしては『インストラクショナルデザイン』という教育の理論とビジネス戦略との組み合わせを可能にする科学的手法で支援していきたい。製薬業界では『育薬』が重要な取り組みになっているが、それはメーカー、医療従事者、患者様と一緒になって製品を育てていく『共創』の考え方。マーケティング戦略の主流である『サービスドミナントロジック』そのもの。それを実行できるMRの育成をお手伝いしたい」
リープ株式会社
https://skillpalette.jp/