富士フイルムは9日、同社の1.5テラス超電導MRIシステム3種類全てに、AI技術を活用して開発した検査ワークフロー効率化と高画質化を実現する新ソフトウェアを搭載し、6月2日から富士フイルムメディカルを通じて発売すると発表した。
新ソフトウェアが搭載されるのは、「ECHELON Synergy」「ECHELON Smart Plus」「ECHELON Smart ZeroHelium」の3システム。
新ソフトウェアは、検査ワークフローの効率化をサポートすること。検査前のポジショニングでは、頭頸部をスキャンする際に簡単なスライド操作で被検者の頭部にセッティングできる頭頸部用受信コイルに加え、MRIシステムの両サイドに設置されているタッチパネルのスタートボタンを押すだけで、寝台が装置内に移動し、磁場の中心で対象部位をスキャンできるように寝台の位置を自動的に調整する機能を装備している。
撮影する際には、AI技術を活用したスライスライン設定サポート機能「AutoPose」によって、取得する断層画像の位置・角度を自動で設定することが可能なこと。スライスライン設定のアルゴリズムには、3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」で培ってきた臓器認識技術を活用している。
撮像後の画像処理では、頭部MRAの自動クリッピング処理機能「AutoClip」に加え、3D画像取得後に、事前に撮像した2D画像と同じスライス(スライス断面)を自動で実行する機能「AutoMPR」が、ワークフローの効率化をサポートする。
また、AI技術を活用して開発した「DLR Clear」により、MRIの撮像原理上発生するトランケーションアーチファクトを低減し、画像鮮鋭度を向上することができる。
撮像時間を短縮するため、本来計測すべきデータの一部を計測せず、未計測部分を推定データで補うハーフスキャンという手法がある。新ソフトウェアを搭載したMRIシステムは、AI技術を活用してハーフスキャンの未計測部分を推定する新開発の「DLR Symmetry」によって画質劣化の少ない画像を得ることが期待できる。
同社は、11~13日にパシフィコ横浜で開催される「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」にこれらのMRIシステムを出展する。