積水化学工業住宅カンパニーの調査研究機関である住環境研究所は5日、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター(SARC)と共同研究契約を締結し、来年1月から2年間、「住まいの断熱効果」に関する調査を実施すると発表した。
同研究所はこれまで、「リフォームによる中高齢者の健康効果」の調査を行うなど、脳の育成、活性と住まいや暮らし方の関係性について調査、研究を進めてきている。またSARCは、人の誕生から発達、成熟、老化、死に至る加齢の基本的メカニズムを解明するため、多階層的な医学研究を実施している。
そこで今回、両者は、住宅断熱とそれによる健康寿命延長効果について、詳しいエビデンスの取得を目的に調査を行うこととなった。この調査を通じ、消費者を含む社会全体の住宅断熱の強化に関する機運のさらなる醸成に貢献することを目指す。
両者は、共同で検証・調査事業を推進するため、今年9月30日に共同研究契約を締結している。研究期間は今年10月から2028年8月の約3年間とし、数度の中間報告を経て28年上半期中に最終報告を行う予定となっている。
同調査では、宮城県内の居住者を対象とし、戸建の住居を中心に断熱性能を低断熱群(断熱等性能等級3相当)と高断熱群(同等級5相当)の2群に分け、断熱性能効果を前向きコーホート研究にて検証を行う。それぞれ冬季、夏季の1年経過後の差を分析・解析する。
この検証では、暖かさ・寒さの状況や冷暖房設備の種類、使い方(リビング・寝室など)、湿温度、温熱満足度(各居室)などの住空間の状況把握に加え、光熱費や医療費についても確認する。また、心理や身体に関する個別質問に加え、認知機能検査、運動機能検査、血液(生理機能)検査など、居住者に対するより踏み込んだ調査を実施する予定。
今月上旬から調査参加のモニター募集を開始し、同意を得られた者に来年1月から2年にわたり調査する。
近年、国や自治体の既存住宅への施策やカーボンニュートラル社会の推進により、住宅の断熱性能への関心が高まっている。また、WHOの健康指標や関連研究からも、断熱性能と疾病リスクの低減や生活の質向上、生活満足度に関連性が見られることが示唆されるなど、断熱性の良い住まいは健康的な生活基盤の構築の一助となることが期待されつつあるという。高断熱化を普及させるためには、様々な視点でのさらなる断熱効果に関する実証が必要で、今回の調査の結果が注目されるところ。
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