
平手専務
グラクソ・スミスクライン(GSK)の平手晴彦代表取締役専務は19日、分子標的抗癌剤「タイケルブ」の発売を受け、「われわれが本格的に送り出す抗癌剤の第一弾」との認識を示し、「本気でコミットしていきたい」と、癌領域に本格参入する考えを明らかにした。タイケルブは、HER2陽性転移性乳癌に対し、カペシタビンと併用する二次治療としての承認となったが、今後、乳癌の一次治療や胃癌への適応拡大に向け、開発展開を加速させる方針だ。
GSKは、2007年12月に難治性白血病・悪性リンパ腫治療薬「アラノンジー」を発売しているが、希少疾病用薬で患者数が少ないことから、今回発売した「タイケルブ」を、癌領域に本格参入する第一弾製品と位置づけている。
平手氏は「タイケルブは、気持ちを込めて本格的に送り出せる新薬。乳癌患者さんからも強い要望があった。これから癌領域に本気でコミットし、新薬を待ち望んでいる患者さんに貢献してきたい」と意気込みを語った。
既にタイケルブは、乳癌の一次治療として、タキサン系薬剤と併用する国際共同治験が実施されている。また、術前・術後補助化学療法として、タイケルブ単独またはハーセプチンとの併用による国際共同治験のほか、胃癌を対象にしたアジア共同治験も進行中で、適応拡大に向けた展開が予定されている。
今後、癌領域では、第III相試験段階の血管新生阻害剤「パゾパニブ」、承認申請中の子宮頸癌予防ワクチン「サーバリックス」などが控えている。平手氏は「GSKとして癌領域にコミットし、予防ワクチンも含めた展開を広げていきたい」としながらも、「タイケルブに対する患者さんからの期待は非常に大きい」として、当面はタイケルブの展開を慎重に進めていく考えを示した。
「タイケルブ」を19日に新発売

タイケルブ
グラクソ・スミスクライン(GSK)は19日、抗悪性腫瘍剤「タイケルブ錠250mg」(一般名:ラパチニブトシル酸塩水和物)を新発売した。
タイケルブ錠250mgは、GSKが開発した新規分子標的治療薬。EGFRとHER2の受容体チロシンキナーゼのシグナル伝達を阻害することで、癌細胞の増殖を抑制する。アントラサイクリン系・タキサン系化学療法剤、抗HER2陽性抗体「ハーセプチン」の治療後に悪化したHER2陽性の転移性乳癌患者に対し、カペシタビンとの併用療法で使用できる。
海外第III相試験では、ハーセプチン既治療のHER2陽性転移性乳癌患者に対し、カペシタビン単独群に比べ、タイケルブ+カペシタビンの併用療法で有意な無増悪生存期間の延長が認められている。
国内では、4月から日本化薬と共同販促を開始しており、海外では既に世界74カ国・地域で承認されている。
用法・用量は、カペシタビンとの併用で、成人には、ラパチニブとして1250mgを1日1回、食事の1時間前か、食後1時間以降に経口投与する。
薬価は、250mg錠1錠1620・70円。