【JMDC/オムロン/筑波大学】SASリスクの高精度予測モデルを開発‐レセプト・健康診断・ライフログデータを活用

2026年06月26日 (金)

 JMDCとオムロン、筑波大学の共同研究グループはこのほど、JMDCが有する国内最大規模の医療データに、PHR(パーソナルヘルスレコード)サービス「Pep Up」に記録された日々のライフログデータを組み合わせ、治療が必要なレベルの睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高精度に予測するAIモデルを開発した。

 従来のSASリスクの把握は、医療機関を受診して精密検査を受ける、あるいは専用のウェアラブルデバイスを通じた診断検査やリスク判定サービスを利用するなど、いずれのアプローチでも、自覚症状のある人が主体的に選択し、手間とコストを投じて実施する手法に限られていた。

 そこで今回の研究では、「無自覚な人も含め、ほとんど手間や追加のコストをかけずにSASリスクの高い人を見つけ出し、適切な検査・治療につなげられないか」という課題に対し、大規模ヘルスデータとAIを活用したアプローチに取り組んだ。

 対象は約186万人の「Pep Up」ユーザーから収集された大規模データ(2022年1月~24年7月の3カ月ごとの11時点における延べ約1869万レコード)で、機械学習(LightGBM)を用いて、SASの治療(CPAP治療)を受けている人の特徴を学習し、合計279のデータ項目から治療が必要なレベルのSASを予測。レセプトや健康診断のデータだけでなく、血圧計・体組成計・ウェアラブルデバイス等から得られる「日常の健康データ(PHR)」を予測に組み込み、またPHR情報がある時とない時で予測精度を比較した。
開発されたAIモデルは、治療が必要なレベルのSASの有無を非常に高い精度で予測できることが確認された。主な成果は次の通り。

 ▽高い予測精度:予測性能を示すAUROCは0.898(95%信頼区間:0.895?0.901)だった。

 ▽効率的なハイリスク者の抽出:予測スコアが上位1%に入った人のうち約3割(28.3%)、予測スコアが上位10%に入った人のうち約1割(10.3%)が、実際にCPAP治療を受けているSAS患者に該当した。これは、無作為に検査する場合(研究対象集団における有病率1.6%)と比べ、はるかに効率的にハイリスク者を見つけられた。

 ▽主要な予測因子:重要な予測因子として男性であること、年齢、BMI、腹囲などが上位にあがり、過去の研究と矛盾しない結果でした。加えて、健康診断の採血結果や、日々のライフログ(睡眠時間など)も予測に寄与していた。

 ▽PHRの有用性:「Pep Up」を通じて血圧・睡眠時間・体重などを日常的に記録しているユーザーほど、PHRが予測に貢献する度合いが高いことが分かった。

 このAIモデルを活用することで、▽「隠れSAS」の早期発見、▽医療への適切な誘導▽労働生産性の向上――が期待される。

 今回の研究を通じ、日々の健康記録がSASのような病気の予兆発見に役立つことが科学的に示された。今後オムロンは、家庭血圧計・体組成計・ウェアラブルデバイス等のデータが、病気の予兆を予測する際に有用な情報として使われていく、そうした健康管理と予防の新たな時代の実現を目指していく。

 また、SASを皮切りとして脳心血管イベントやその他の生活習慣病、メンタル疾患等への発展が可能となる。今後もJMDCは、独自のレセプト・健康診断・ライフログデータから多様なAIモデルを構築するプラットフォーマーとして、オムロンやその他企業との予防医療ソリューションなどの事業共創を視野に予測サービスを社会に還元していく。


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