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AI時代におけるPHRの現在地

2026年06月19日 (金)

 連日、AIの動きが報道されている。従来型の生成AIを進化させたエージェント型AIが出現して、進化はまだ続くと思われた矢先、アンソロピックが開発した最先端AIの使用にブレーキがかかった。

 同社のAIモデルは、システムの脆弱性を自律的に発見できることが新たな特徴であるとされ、AIがシステムを改善して次のAIを自律的に開発する「再帰的自己改善」が及ぼす影響を危惧した同社が一時アクセス停止を表明する事態となった。AIの進化は、昔のSF映画のごとく既に人間の想定を超えてきているのかもしれない。

 社会全体でデジタル化が進められているが、保健医療分野のデジタルデータを活用した医療DXの先駆け的な取り組みがPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)である。2019年9月、PHRの推進に関する基本方針の策定作業が開始され、21年に総務省、厚生労働省、経済産業省による「PHRサービス提供者による健診等情報の取扱いに関する基本的指針」が策定され、25年に改定版がまとめられた。

 同事業推進は、デジタル庁を含めた4省庁が所管官庁であるが、民間団体としては産官学共同のPHR普及推進協議会、事業者で構成されるPHRサービス事業協会が主体的に活動を展開している。両団体は一部共同で、25年6月に「民間事業者のPHRサービスに関わるガイドライン」第4版をまとめるなど、社会環境変化に適応できるよう逐次取り組んでいる。

 医薬品、薬局関連では、既にマイナポータルAPIにより薬剤や電子処方箋などの情報を取得・管理することが可能になっている。今後は、国の承認を受けた事業者は、マイナポータルをハブとして国、自治体が有する情報を、利用者本人の同意を得た上でデータの取得・活用が可能になる。

 総務省の実態調査では、事業者から「入院中の薬剤情報や他院・他科の処方履歴、他薬局で投与された臨時薬、退院後の空白期間など処方履歴を一括把握できるため、飲み合わせ事故の防止、重複服薬回避など薬局・薬剤師の調剤前確認が円滑になり、時短につながっている」などの声が寄せられている。

 現在は、日本医療研究開発機構(AMED)が、第2期(25~27年度)の医療高度化に資するPHRデータ流通基盤構築事業を展開している。2月現在で、関連アプリサービス提供企業等43社、4自治体の計47事業体が参加しているが、うち電子お薬手帳や服薬情報管理アプリが28事業者によって運用、検討、改良が行われている。

 PHRは文字通り、生涯のデジタルヘルスデータを個人が自ら取得・管理して健康状態を把握するシステムである。国民や関連産業事業者の役に立つAIを活用した改善は歓迎するが、AIに支配されるPHRは遠慮したい。



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