薬価に対する製薬企業から医薬品卸への仕入れ価格の割合を示す仕切価率が100%以上となる、いわゆる逆ざや仕切価率が2025年度は全包装単位の6.9%に上ることが、厚生労働省の調査で明らかになった。この3年間で上昇を続け、過去最高水準となった。製薬企業が設定する一次仕切価の段階で逆ざやとなれば、医療機関や薬局への納入価では不採算に陥りやすく、医薬品流通の持続性にも影響を及ぼしかねない。
23日に開催された医療用医薬品の流通改善に関する懇談会では、「このままでは全品が逆ざやになってしまう」との悲鳴も聞かれた。もはや流通改善の取り組みだけで解決できる問題ではなく、薬価制度を含めた抜本的な見直しが必要だ。
3月に改訂された流通改善ガイドラインでは、市場実勢価を踏まえた適切な一次仕切価の提示と最終原価の設定を求めると共に、人件費や流通コストなど医薬品の安定供給に必要な費用の実情を考慮するよう明記している。
ところが、流改懇で公表された調査結果によると、25年度は流通コスト等の実情を考慮して仕切価を引き下げた割合が前年度より増加したものの、全体として仕切価率はなお上昇傾向にあることが確認された。
カテゴリー別では、「後発品」が9.4%と約1割に達した。安定供給問題の中心にある後発品で逆ざやが広がっていることは看過できない。逆ざや仕切価率を設定した理由は、「原材料費の高騰」が約7割を占め、企業努力のみでは対応が難しい実態もうかがえる。
増加が続く逆ざや品への対応を考えると、昨年末の大臣折衝で「着実に実施する」とされた中間年改定のあり方や市場実勢価に基づく現行の薬価算定方式そのものを見直す必要があるのではないか。
メーカー側の対応では「不採算品再算定の申請」が最多となったが、25年度薬価改定で不採算品再算定の対象となった品目でも、前年度から仕切価率が上昇した包装単位数は、昨年4月の5.7%から今年4月には7.9%へ増加した。不採算品再算定による薬価下支えを行っても、逆ざやの改善にはつながっておらず、川下での適正な価格形成が難しい実態が浮き彫りとなった。
医薬品卸も厳しい立場に置かれている。包装単位別の薬価を見ると、20円未満の低薬価品が半数を超える。物価や原材料費の高騰が続く中、卸の流通コストが十分に反映されない仕切価が設定されれば、医療機関・薬局に対しては薬価を超えた納入価を提示せざるを得ない。
来年度の薬価改定に向けた議論が始まった。流通改善の取り組みは重要だが、それだけで逆ざや問題を解決することは難しい。医薬品の安定供給を支える卸や医療機関、薬局の負担が限界に近づく中、薬価制度全体の見直しに踏み込む時期に来ている。


















