
Photo Credit: Adobe Stock
コントロールが難しい高コレステロール血症の患者にとって、新たな治療選択肢が1つ加わった。米食品医薬品局(FDA)は7月16日、1日1回服用する世界初の経口PCSK9阻害薬Lipfendra(一般名:エンリシチド)を承認した。PCSK9は、血液中のLDLコレステロール(LDL-C)を体内から除去する働きを妨げるタンパク質で、エンリシタイドはPCSK9のこの働きを阻害することでLDL-Cを低下させる。Lipfendraの適応となるのは、高コレステロール血症の成人、および遺伝性の高コレステロール血症であるヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(HeFH)の成人で、食事療法と運動療法との併用で使用する。
PCSK9阻害薬の注射製剤はすでに数年前から販売されているが、米国での価格は月額500~600ドル(1ドル162円換算で約8万1,000~9万7,000円)と高額で、注射を望まない患者も少なくないとニューヨーク・タイムズは報じている。Lipfendraの開発・製造元であるメルク社によると、Lipfendraは30日分で315ドル(約5万1,000円)に設定され、数週間以内に薬局で販売が開始される見込みだという。
Lipfendraの有効性と安全性は、最大耐用量のスタチンを服用していた重度の高コレステロール血症の成人3,207人を対象とした2件のランダム化二重盲検プラセボ対照試験で確認された。いずれの試験でも、主要評価項目は、24週時点におけるベースラインからのLDL-C値の変化率(プラセボ群との比較)だった。1つ目の試験は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者、またはその高リスク患者を対象に実施され、24週時点のLDL-C値のベースラインからの変化率は、Lipfendra群でプラセボ群と比べ56%低下した。2つ目の試験では、HeFH患者のみを対象に実施され、Lipfendra群でのLDL-C値のベースラインからの変化率はプラセボ群と比べて59%低下した。
安全性については、1つ目の試験では副作用の発現頻度はプラセボ群とほぼ同程度だった。一方、HeFH患者を対象とした2つ目の試験では、Lipfendra群で下痢やめまいがより多く見られた。ただし、副作用を理由に治療を中止した患者の割合は両群でほぼ同じだった。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、注射型のPCSK9阻害薬は、高リスク患者において心筋梗塞、脳卒中、心血管死のリスクを約20%低下させることが示されているという。メルク社は現在、Lipfendraでも同様に心血管イベントを抑制できるかを検証する臨床試験を進めているという。(HealthDay News 2026年7月16日)
More Information
https://www.fda.gov/drugs/news-events-human-drugs/fda-approves-first-oral-therapy-inhibits-proprotein-convertase-subtilisinkexin-type-9-pcsk9-lower





















