厚生労働省は4日、政府管掌健康保険と協会けんぽの2008年度収支決算を発表した。それによると、中小企業のサラリーマンらが加入する公的医療保険の財政は、収入が対前年度比0・4%増の7兆1357億円に対し、支出が1・7%増の7兆3647億円となり、収入を2290億円上回った。景気の低迷で保険料収入が減少した一方、保険給付費が増加した。単年度赤字は07年度から2年連続で、急迫する保険財政が改めて浮き彫りになった。
今回の決算は、従来の政管健保が昨年10月に、全国健康保険協会の運営する協会けんぽに引き継がれたため、両制度を合算した。
収入は、ほとんどを占める保険料が6兆2014億円で、前年度から664億円減少した。経済情勢を反映し、賞与が当初見込んだ1・57カ月を下回る1・51カ月となったことが主な原因。
支出は、6割近くを占める保険給付費が4兆3375億円で1・6%増加した。被保険者数が0・2%減の1983万人となったものの、被保険者1人当たり給付費が1・9%増えて21万8629円となったため、当初想定した以上に給付費が伸びた。
単年度収支差は、前年の赤字幅から900億円悪化し、準備金残高は1539億円に目減りした。厚労省は09年度の協会けんぽの財政について、「景気、経済情勢が厳しく、保険給付費が伸びる中で運営していくことになるが、通年を通して見守っていかなければならない」としている。