カネカ(本社大阪市)とメドレックス(本社東かがわ市)は1日、経皮吸収型医薬品の研究開発と製造を行う両社出資の合弁会社「ケイ・エムトランスダーム」を9月に新設し、共同運営を開始したと発表した。メドレックスのシーズ開発などを引き継ぎ、5年後に売上高約50億円を目指す。
資本金は1億円。カネカが51%、メドレックスが49%を出資した。本社は、大阪市北区中之島3‐2‐4のカネカ大阪本社内に設置。代表取締役社長は、カネカ常務理事新規事業開発部副部長の谷敍孝氏が兼任する。当初は約10人のスタッフでスタートする計画だ。
合弁会社は、メドレックスが開発中の経皮吸収型医薬品の一部を引き継ぎ、開発を進める。現時点での開発段階は非公開だが、疼痛領域と中枢神経領域の二つのシーズが引き継がれる見通しだ。
さらに、メドレックスの経皮吸収型製剤作製技術やノウハウ、カネカのポリマー素材に関する技術やノウハウを融合させ、カネカが持つ国内外の製薬会社とのネットワークも活用しながら、画期的な医薬品開発に取り組むという。
医薬品の開発は、非臨床から臨床まで各段階の開発が進むにつれて、必要とされる資金が増していく。バイオベンチャーのメドレックスにとっては、合弁会社の設立によって、カネカが持つ豊富な資金を、シーズの開発に活用できるというメリットが大きい。
一方、医薬品中間体・バルクの製造販売や、抗体医薬品ビジネスへの本格展開など、ライフサイエンス事業を手がけてきたカネカは、事業を拡充させる要素の一つとして、経皮吸収型医薬品の研究開発と製造を新たに取り込むことができた。事業の売上高は約400億円で、売上全体の約9%を占めている。
メドレックスは、帝國製薬の常務取締役や副社長を歴任し、貼付剤の研究開発や各事業展開を指揮した経験を持つ松村眞良氏が、2002年に設立したバイオベンチャー。DDS技術の研究開発と事業化を進めており、「イオン液体」という現象を活用した経皮吸収技術に強みがある。