
鈴木社長(左)と大下社長
エステー(鈴木喬社長)とフマキラー(大下一明社長)は13日、資本業務提携契約を締結した。フマキラーの第三者割当による新株式発行をエステーが引き受けることで、エステーはフマキラーの発行済株式の15・1%を取得し、アース製薬を抜き筆頭株主になる。フマキラーは増資で得た資金を、建設を予定している新しい開発棟および生産設備「ブレーンズ・パーク」の資金に充てる。また、業務面では営業や商品の研究開発、仕入れ・物流などで提携する。
フマキラーの第三者割当による新株式発行は358万株(発行済株式の12・18%)。これをエステーは、約16億1500万円で取得する。発行期日は6月4日。現在、エステーが保有しているフマキラーの普通株式140万株を合わせると、498万株になる予定で、発行済株式の15・1%となる。
資本業務提携の理由について、エステーの小林寛三専務は「両社は長年にわたり、ビジネスパートナーとして取り組んできた経緯がある。そうした実績を踏まえ、両社の事業領域が補完関係にあることを生かし、今後も事業活動に関してノウハウおよび人的資源を相互に補完・協力することで、両社の事業の発展、収益性の強化および顧客満足度の向上を図ることにした。それによって、両社の事業価値、株主利益の向上・発展につなげるため、資本業務提携を実施することになった」と説明した。
提携する業務については、[1]営業:販売促進サポート業務の共同取り組み強化、国内外の販売チャネルの相互活用等[2]開発:両社の得意分野を生かした共同研究開発、知的財産のクロスライセンス等[3]調達:生産設備の相互利用、部材の共通化等によるコストダウン[4]物流:物流インフラの共同利用等‐‐などを挙げている。具体的な内容や推進方法は、両社で「業務提携推進委員会」を設置し、協議の上、決定していく。
また、エステーは今年6月開催予定のフマキラーの定時株主総会における選任を経て、フマキラーに対して取締役1人を派遣する。
今回の資本業務提携についてエステーの鈴木社長は、「両社の創業以来の熱い気持ちが赤い糸で結ばれていて、ここまで来たのかなと感じている。この強い赤い糸を一段と強化させていただきたいと思っている」と話した。
フマキラーの大下社長は、「両社が協力して提携による効果を早期に実現していくことで、お互いの事業価値や株主価値を高めていきたいと考えている」と述べた。
広島に開発・生産設備「ブレーンズ・パーク」
フマキラーの「ブレーンズ・パーク」建設は、長期的な視点に立った新商品開発力の強化をはじめ、今まで以上の高品質、コストダウンを実現するのが狙い。建設場所は同社の広島工場敷地内(広島県廿日市市)で、投資金額は概算で約26億円。着工は今年9月の予定で、来年7月に一部の稼働を開始し、来年12月には完全稼働する予定だ。