
新宅社長
テルモの新宅祐太郎社長は12日、都内で記者会見し、10年以内に売上高1兆円の目標達成に向け、医薬品と医療機器を融合した「ドラッグ&デバイス」事業のグローバル展開を加速させる考えを示した。医薬品市場の主役がバイオ医薬品、バイオジェネリックにシフトし、注射剤の需要増が見込まれることから、新宅氏は「デバイスの付加価値が大きな差別化要因になる」と強調。「プレフィルドシリンジで培った国内の技術・実績を生かし、新たな成長機会を求めて事業の大きな柱にしたい」と語った。
テルモは、新たな成長機会の一つにドラッグ&デバイス事業を位置づけている。医薬品市場は、低分子医薬品からバイオ医薬品にシフトし、ジェネリック医薬品もバイオ後続品に置き換わることで、注射剤の需要増が見込まれている。新宅氏は、「まさに製薬のパラダイムシフトによって成長機会が生まれてきた」と強調。特にバイオ後続品ではデバイスが差別化要因になるとし、「国内で培ったプレフィルドシリンジの技術・実績を生かし、大規模なグローバル展開をスピーディーに行っていきたい」と語った。
既にテルモは、国内中堅ジェネリックメーカーの富士製薬工業と業務提携し、ドラッグ&デバイス事業の協業を進めている。さらに今後、国内製薬企業との協力を強化すると共に、バイオ医薬品開発で先行する大手外資系製薬企業との連携を模索していく方針だ。バイオ後続品に関しても、新興国を含めジェネリックメーカーを開拓し、関係構築を進めることで、ドラッグ&デバイス事業のグローバル展開を加速させる。
その上で、新興国で急成長する血液事業への再注力、中国・アジア・新興国市場の開拓に向けた新戦略を進めることによって、2010年3月期の売上高3160億円を10年以内に約3倍増の1兆円に引き上げたい考えだ。