仮想現実(VR)技術は、終末期の患者が抱える様々な症状の緩和やQOL向上に役立つかもしれない――。大阪大学大学院薬学研究科と市立芦屋病院などが実施した共同研究で、そんな知見が示された。緩和ケア病棟の入院患者にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、VR技術によって、生家など患者本人が希望する場所を実際に訪れたかのような体験をしてもらったところ、気分の落ち込みや不安などの症状は体験前に比べて和らいだという。今後さらに研究を深めて効果を実証する計画だ。
有用性、共同研究で検討
終末期になると患者は「自宅に帰りたい」「あの場所に行きたい」などと強く望むが、様々な症状によって行動が制限されたり、自立歩行が困難だったりして、外出は容易ではない。今回の研究は、このように自宅に帰れなかったり、遠出できなかったりする、緩和ケア病棟の入院患者20人を対象に実施した。
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