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【薬剤師のスキルアップと生涯学習】新潟薬科大学 高度薬剤師教育研究センター

2020年07月17日 (金)

グループ研修、9月から実施

小林氏

小林氏

 新潟薬科大学の生涯研修認定制度を運営する高度薬剤師教育研究センターは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、会場に400人程度が集まる薬剤師生涯教育講座を全て中止する判断を下した。一方、少人数で行うグループ研修は、感染予防策を講じた上で9月から実施することを決定。今年度は、グループ研修を中心に据える方向に大きく舵を切った。昨年からスタートした薬剤師復職支援グループ研修も実施する。同センター長の小林靖奈教授は、「コロナ禍であっても工夫して自己研鑽の場を提供し、走り続けたい。少しでも多くの参加を期待している」と語った。

 当初、新潟市中心部の新潟コンベンションセンターで4月から実施する予定だった薬剤師生涯教育講座は、延期するなどして実施の可能性を探っていた。ただ、参加人数が400人を超えることが予想され、3密(密閉・密集・密接)状態の回避が難しいことなどから、感染リスクを勘案して今年度内は全ての講座を開催中止とすることを決めた。

 小林氏は、「演者も受講者も医療者であり、無症状の可能性がある学生も受講するので、そこでクラスターが発生したりすると大変なことになる。思い切って5月下旬に中止という判断をした」と説明した。

 一方で、医学・薬学的知識や技能の向上を目的としたグループ研修をより充実させることにした。1グループにつき定員をこれまでの30人から20人に減らすほか、窓を開けて換気をするなどの感染対策を徹底。参加者の利便性を考慮して会場を同大学の新潟駅前キャンパスに集中させるなどして、9月からの開催を目指して準備を進めている。

昨年のグループ研修『褥瘡』の実習風景

昨年のグループ研修『褥瘡』の実習風景

 グループ研修は、新たなテーマとして「輸液の基本と応用」を取り入れた。脱水の評価と体液量の評価をはじめ、脱水の種類と輸液の選択、電解質異常とその治療について、模擬症例を交えて講義する。主なターゲットとなるのは病院薬剤師だが、薬局薬剤師も在宅対応などで点滴を使う機会が増えており、「ニーズがあると考えている」(小林氏)という。

 在宅医療と薬剤師では、実際に薬局で在宅訪問を行っている薬剤師を講師に招き、患者情報から病態の重症度を鑑別(トリアージ)し、治療薬の副作用症状を見出して適正な対応ができるようになるための基本的知識を修得する。小林氏は、「厚生労働省も薬局薬剤師による在宅対応を推進しており、在宅をテーマにした研修は複数企画した」と話す。

 2年前からスタートした災害薬学は、基礎編と実践編に分け、小林氏が基礎を担当。災害医療の基本戦略を概説した後、実践編を担当する新潟大学医学部災害医療センターの和泉邦彦氏が避難所における薬剤師の対応などについて講義する。小林氏は、「トータル4回のうち、同じ内容を2回話すようにして参加できる機会を増やした」とし、受講のしやすさにも配慮した。

 これまでグループ研修は、参加申し込みの締め切りを一括で行っていたが、今回は参加者の利便性を考慮してテーマごとに締め切りを設けるようにした。第1回の開催が9月2日の「薬局薬剤師のための感染制御」を例に挙げると、締め切りは1カ月前の8月3日になる。

 同大学では、新型コロナ感染拡大の影響で集合研修の中止、延期が相次いでいる状況を踏まえ、生涯研修認定制度について特別措置を講じることとした。まず、登録料について、今年度分の認定制度の受講に当たっては、予定していた薬剤師生涯教育講座が中止となることから無料にした。

 また、薬剤師生涯教育講座の受講申し込み時に登録料を支払い済みの場合は、返金せずに原則として来年年度分の生涯研修認定制度の登録料として充当するなどの対応を行う。

 認定単位取得についても猶予期間を設ける。既に今年6月末までに認定期間の満了を迎えた人には、単位取得期間を最大3カ月延長することを決めているが、来年3月末までに現在の認定期間が満了を迎える人についても、認定単位の取得期間を最大3カ月延長することとした。

 さらに追加措置として、全ての受講者に対し、申請により受講期間の延長を1年間認めることや、eラーニングなどのインターネットによる研修で修得した単位について、新規で4年間通して15単位、更新で3年間通して10単位取得という上限を撤廃することを決定し、実施する。

 昨年からスタートした薬剤師復職支援グループ研修は実施する。前期(6~7月)は新型コロナの影響で開催できなかったため、後期(10~11月)のみの募集となる。

 研修は、現場復帰を検討している薬剤師を対象に、復帰に向けた技能や知識をおさらいするという位置づけで、講義と指導薬剤師による市内4薬局での調剤業務一般(処方箋応需から服薬説明まで)を経験する。10月19日に導入講義を行い、20日から23日にかけて実地研修を実施。26日にまとめの講義を行う。

 小林氏は、「コロナ禍で実技を学ぶ機会がだいぶ減っている。できる限りその機会を確保したいと考えているので、少しでも多くの人に参加してもらいたい」と呼びかけた。

新潟薬科大学 高度薬剤師教育研究センター
http://www.nupals.ac.jp/koudo/



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