シールレスビーズミル展開‐全金属混入濃度2ppm以下に

ケムテック事業部・新工場
化学装置などを製造販売する広島メタル&マシナリー(広島県呉市)は、医薬分野については「ケムテック事業部」で、湿式粉砕機・ろ過機、粉体混合機等の化学機械と遠心分離脱水機等の環境装置を手がけており、塩野義製薬と進めてきた医薬品ナノ粉砕技術の開発を完成させた。今後は医薬品向けにメカニカルシールを省略したシールレスビーズミルを差別化製品として展開する予定にしている。
同社のケムテック事業部は、最先端の技術により機械装置を手がけ、化学操作で重要なスラリー処理と粉体混合の最新装置とソリューションを提供。ビーズミル、連続ろ過機、密閉式コンテナミキサーを主要製品として、高性能でユニークな装置を提供してきた。スラリーの微粉砕、分散、濃縮、脱水、スラリー洗浄、混錬、乳化などの基本単位操作を高機能で実現できる装置と処理技術を提供している。
具体的に見ると、アペックスミルシリーズとして、ミクロンサイズからナノ粒子のスラリー処理まで可能な高性能ビーズミルとスラリーの混錬・乳化処理が可能なビーズレスミルにより、最新のスラリー処理技術を実現している。
ロータリーフィルターシリーズでは、クロスフローろ過技術によって、密閉・連続・自動化の機能を加えて、濃縮・脱水・スラリー洗浄を連続処理できる高速ろ過機をラインナップ。セラミック製フィルター使用の機種では、数十ナノクラスの微粒子のろ過が可能としている。
遠心分離装置は、結晶類・樹脂ペレット等の遠心ろ過装置を4機種と、工業製品・飲料・食品の脱水から下水汚泥脱水をカバーする遠心脱水機2機種をラインナップ。
医薬の混合分野では、ボーレコンテナーミキサーが密閉式コンテナー容器内で粉体混合する装置として、均質混合、高充填、高効率が評価され、医薬業界でベストセラーとなっている。
医薬のAPI粉砕分野では、難溶解性薬剤の吸収改善や薬効の迅速発揮を目的とするナノ薬剤が注目されている。医薬API粉砕向けビーズミルの装置要件は、▽処理速度が高い▽金属元素混入(コンタミ)が少ない▽衛生洗浄が容易――の3点が重要とし、特にビーズミルでのナノ薬剤製造では金属元素によるコンタミ防止を最重要課題としている。
これらの課題を克服したシールレスアペックスミルは縦型ミルで、攪拌ローターが低速回転してもミル底にビーズが高密度で存在し、処理機能が低下しないことから、低速運転でも均一処理が可能である。低速処理ではビーズ摩耗による破片発生を大幅にコンタミ低減できる。
また、メカニカルシール装置が存在しないため、ミル分解が簡単で部品洗浄しやすい設計が可能で、メカニカルシール装置が起因した金属元素のコンタミがない。
シールレスアペックスミルは構造的に三つの装置要件を満たしていることから、同社は2017年に塩野義製薬と共同開発契約を締結。製薬企業と機械メーカーの技術的知見を融合し、低コンタミの医薬品ナノ粉砕の技術開発を行った。
高生産性かつ低金属混入物濃度の処理条件を求めるため、5種類の原料で150水準以上の粉砕処理を実施。
その結果、処理速度と低コンタミが両立する四つの良好な条件を明らかにし、全金属混入濃度が2ppm以下となる成果を上げた。
今後、同社では、医薬品粉砕向けのシールレスアペックスミルを差別化製品として販売展開していく予定である。
広島メタル&マシナリー(アペックスミルF&M)
http://www.hiroshimamm-chemtech.com/product/fm/