
大阪証券取引所であいさつする籾山社長
分析CROのJCLバイオアッセイ(本社豊中市、社長籾山邦男氏)は17日、大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場した。臨床試験のバイオアナリシス(生体試料中薬物濃度測定)を製薬会社から受託する事業は国内トップシェア。今回の上場で得た資金をもとに米国に本格的に進出する。1株630円の初値がついた。
同社は、最高0・1pg/mLという超高感度で薬物濃度を測定できる技術を構築するなど、高感度、高品質の分析を行えるCROとして業界の信頼を獲得。80億円強と推定される国内バイオアナリシス市場の25%前後のシェアを確保し続けてきた。
国内だけでは成長の機会が限られるとし、約6年前から米国進出を模索。2008年11月には米国イリノイ州のシカゴ近郊の土地を購入した。今後、上場で得た資金をもとに、現地でバイオアナリシスを受託するための分析施設(ラボ)を建設する計画だ。
西脇市にある同社のラボと同規模を想定する米国ラボは、10年2月に完成する予定。その後、約半年かけて分析装置のセットアップを行い、併せて研究員の募集を行う。10年末には研究所を稼働し、11年4月頃から本稼働させる青写真を描いている。
米国のバイオアナリシス市場は7000800億円規模と推定される。まずは、日系製薬会社が米国で実施する臨床試験について、バイオアナリシスを受託して実績を作り、その上で受託先を拡大したい考えだ。
「上場の準備を開始してから、4年がかりでようやく上場することができた。まずは一段落したなと思う」と籾山社長。「米国の施設が立ち上がった暁には、事業として大きな飛躍ができると考えている」と話す。
同社は、日本医学臨床検査研究所(本社京都府久世郡久御山町)の社内ベンチャーであったバイオアッセイ事業部が、会社分割によって05年4月に独立して発足。08年3月期の売上高は23億円2650万円。従業員は144人(09年1月現在)。