アステラス製薬は7日、製造子会社「アステラス富山」の富山工場内に「発酵技術研究棟」を建設すると発表した。天然物由来化合物の開発用原薬をグローバルに安定供給するため、製造能力を大幅に増強する。総工費は約55億円。2009年9月頃に着工し、10年度中の完成を予定している。
アステラスは、低分子化合物と共に、天然物由来の発酵創薬研究に取り組んでおり、免疫抑制剤「プログラフ」、アトピー性皮膚炎治療薬「プロトピック」などの代表的な新薬を創製してきた。現在も非臨床段階に複数の天然物由来化合物を有している。
これまで発酵技術を活用した開発用原薬の製造は、愛知県清須市にあるアステラス富山の技術センターで行ってきたが、非臨床段階に控える化合物の進展を見据え、新たに富山工場内に発酵技術研究棟の建設を決定した。これにより、製造能力が大幅に増強され、開発用原薬のグローバル供給体制が整備されることになる。
新研究棟は、地上3階建て、延床面積約9000m2の規模で、日米欧の治験薬GMPに対応した設備となる。また、スケールアップ研究用設備も併設し、スケールアップ技術の構築から製法の最適化まで一貫して検討できるようになる。