オーガナイザー
西田基宏(九大院薬)
中川秀彦(名市大院薬)
元素周期表の第16族に属する硫黄は、生命の起源より生体エネルギー産生に関与する生命素子として注目されている。硫黄原子は、酸素よりも電子授受能に富む化学特性を持ち、生体内や食物・自然環境中にも豊富に存在するものの、その化学的反応性の高さが原因で、生命活動における動態を捉えることは困難であった。
最近、生体内の硫黄原子が連結した構造をした超硫黄分子として産生され、真核生物・哺乳類のミトコンドリアのエネルギー代謝を管理するだけでなく、求核性・親電子性の両面性をもつことで形成される物理化学的特性が生体内の様々な環境応答・適応を担うことも分かってきた。こうした実績をもとに、超硫黄分子の簡便な計測技術開発や生物学的意義の解明を目指す国内の研究者が集い、学術変革領域(A)「硫黄生物学」が立ち上がった。
本シンポジウムでは、最先端の超硫黄生物学研究を推進する医薬系研究者を招き、その成果を紹介していただき、これを基盤に出口戦略(医療応用)の可能性についても議論したい。
(西田基宏)