オーガナイザー
山次健三(東大院薬)
生命は生体分子とそれらに介在する化学ネットワークからなる。例えば、ヒトゲノムには2万~2万5000の蛋白質の一次配列しかコードされていないが、その転写産物であるRNAが様々なスプライシングや化学修飾を受けることによっておよそ10万のトランスクリプトームを形成し、さらにその翻訳産物が様々な翻訳後修飾(PTMs)を受けることで、100万以上のプロテオームを形成する。さらに近年、生命はこれまで考えられてきた以上の多様な化学修飾によって駆動されていることが明らかとなってきた。
本シンポジウムでは、これらの「生体が元来持っていない、あるいはその存在が不明だった化学修飾」をneo-PTMsと定義し、細胞内でこれらの生体分子修飾を人為的に導入・操作する化学技術の開発やそれを利用した未知の生体分子修飾の発見と理解について紹介しながら、化学と生物の垣根を超えて活発な議論を展開したい。
(山次健三)