オーガナイザー
異島優(徳島大院薬)
山吉麻子(長崎大院薬)
生体内に存在するDNAや抗体-抗原複合体は、共有結合以外の弱い相互作用によって秩序だった集合体であり、「超分子」に分類される。この超分子とは、非共有結合性の可逆的結合で集合した分子種の総称であり、薬物担体などに汎用されるリポソームやアルブミン、シクロデキストリンなどもこの超分子に該当することから、薬学領域とも関連深い。
一方、「硫黄」は太古の時代から生命の歴史を牽引してきた元素であるが、様々な測定技術の進歩と共に硫黄原子が連結した不安定な分子を含む硫黄関連化合物が数多く生体内から発見され、抗酸化、抗炎症、エネルギー代謝などの様々な生理活性を司る「硫黄生物学」が注目されている。この硫黄化合物は、低分子から蛋白質まで、実に多彩であり生命の根源的な役割が明らかにされつつある。
本シンポジウムでは、これら二つの「超分子」と「硫黄」に焦点を当て、適材適所かつ臨機応変に「物質共生」を可能にする生体の不思議に迫りたい。
(異島優)