オーガナイザー
山本美智子(熊本大院薬)
佐藤嗣道(東京理大薬)
医薬品を適正に使用するためには、患者に向けた医薬品のリスク・ベネフィトバランスを考慮した十分なコミュニケーションが必要である。しかし、国民のための公的な医薬品情報基盤は十分整備されているだろうか。
情報の基本である患者向けの添付文書「患者向医薬品ガイド(以下、ガイド)」は、リスク管理計画や重篤な副作用等があるものを対象に作成されている。しかし、その認知度は低く利活用は進んでいない。その理由として、ガイドを利用できるサイトが医薬品医療機器総合機構(PMDA)等に限定されている。作成対象となる薬剤数が限られていることがある。また、資材内容や構成が分かりやすいかユーザーテストを行った結果、十分理解されているとは言えず、改善されるべきところが明らかになった。
「患者と医療者が根拠に基づく情報を共有して治療方針を決定するシェアード・ディシジョン・メイキング」や患者が納得できる医療を推し進める上でも情報提供基盤は有用である。今回、行政、製薬企業、アカデミア、患者の立場から、患者向け医薬品情報のあり方ならびにガイドが普及するための方策と展望について議論を深めたい。
(山本美智子)