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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】イオン薬局旭中央店(ウィーメックス)

2023年08月01日 (火)

電子処方箋の応需が半数‐入力時間短縮、ミス減少

イオンスタイル旭中央店

イオンスタイル旭中央店

 昨年4月千葉県旭市に開設したイオン薬局旭中央店では、応需する処方箋の約半数を電子処方箋が占める。イオンリテールは薬局利用者の満足度を高めるため調剤業務の効率化に積極的で、今月末までに同社が運営するイオン薬局の既存店舗全てで電子処方箋を導入する予定だ。

 同店は旭市とイオンタウンを代表事業者とする事業グループとの官民連携で取り組むまちづくり事業の一環としてオープンした「イオンスタイル旭中央」内で、昨年4月20日から調剤業務を開始し、処方箋の多くは国保旭中央病院から応需している。同病院の平均外来患者数は1日当たり約2500人。広域基幹型病院のため、旭市周辺の市町村に加えて茨城県などからも患者が訪れることが特徴だ。

 同店の利用は50~60代が多い。スタッフは薬剤師3人、医療事務員3人、登録販売者など8人が在籍している。店舗内は三つの投薬台があるほか、プライバシーに配慮した相談スペースを設置しており、希望者は個室で服薬指導を受けることも可能だ。同店舗はイオン薬局のパイロット店舗であることからも、新たな機能を積極的に取り入れている。

左から小畑氏、中島氏、イオンリテールの柴田政利氏、西山氏

左から小畑氏、中島氏、イオンリテールの柴田政利氏、西山氏

 同社は「ヘルス&ウエルネス」を掲げ、25年前に保険薬局事業を開始。当初から業務の電子化を推進しており、オンライン資格確認と電子処方箋の導入も早期から取り組んでいる。オンライン資格確認と電子処方箋の運用を開始するため、ウィーメックスが展開する調剤用レセプトコンピュータ「ファーネスIII」の導入をイオン薬局で進めている。

 千葉県旭地域は電子処方箋のモデル事業に選定され、国保旭中央病院や同店も事業に参加している。そのためイオン薬局約260店舗のうち、電子処方箋の応需率は同店が最も高い。

 総合病院である国保旭中央病院は診療科が幅広いことから、同店で取り扱う薬剤数は他店舗より多い。限られた人数のスタッフで対応するためには業務効率化が必須だ。

電子処方箋で読み取った内容を確認する

電子処方箋で読み取った内容を確認する

 同店の管理薬剤師、西山佳友氏は電子処方箋のメリットとして入力時間の短縮を挙げた。「些細な手入力は必要になるが、一から入力する必要はないためかかる時間はかなり短い。紙の処方箋は薬剤名など入力間違いが起こりやすかったが、そういったミスも減少した」と利点を述べた上で、「紙の処方箋を見ながら調剤する習慣がついていたため、手元に紙がないとやや不安ではある。今後は電子処方箋に切り替わっていくため、手元に紙の処方箋がない状態に慣れる必要がある」と話す。

 処方箋の入力を担当する医療事務員も同様に作業の負担軽減を感じている。「番号を打ち込むだけでデータを入力できる電子処方箋は楽。導入当初はエラーがあったが、今ではほとんどなくなった。操作に慣れたこともあり電子処方箋の方が扱いやすい」と現場でも好評だ。

レセプト返戻対策にも

店舗内の様子

店舗内の様子

 イオンリテールの小畑裕也氏は「処方箋入力は調剤業務の入口。ここでいかに早く、正確に情報を入力できるかが患者の待ち時間短縮のカギ」と電子処方箋による患者の満足度向上にも期待を寄せる。

 さらに小畑氏は、調剤薬局側の利点として、服薬指導の時間確保と質向上のほか「資格喪失後の保険証かどうかを判別できるので、請求ができなくなる危険性も軽減できる」とレセプト返戻対策になると指摘する。

 調剤薬局で進む電子処方箋の導入に対して、病院やクリニックでの導入は進んでいない。小畑氏は「病院側にメリットが伝わっていないのではないか。患者の同意のもと、異なる医療機関の情報も閲覧できるようになれば重複投与の抑制や併用禁忌の検知につながる。患者のためにも病院側は導入を進めていただきたい」と呼びかける。

 現在は同店で応需する処方箋の約半数が電子処方箋だ。紙と電子のどちらにも対応している現状について、イオンリテールの中島健介氏は「患者が処方箋を持参するだけではなく、ファックスで処方箋が送信されることもある。受付時にその処方箋が電子か紙かを判別する必要があるため、移行期の現在は大変」と現状を明かす。「時間が経てば病院やクリニック側の導入も進む。イオン薬局はいつでも対応できるよう、自社の全店舗で随時導入を進める。そうすることで他の医療機関とも連携を強めたい」との思いを語る。

 同社が展開する総合スーパーなど約350店舗のうち、約260店舗で調剤機能を持つイオン薬局を併設している。今後は総合スーパー店舗で需要を考えながら新たに併設を増やしていく方針だ。イオン薬局で電子処方箋を導入することで、近隣の医療機関に対する電子処方箋の普及促進にも期待できるとしている。

イオン薬局旭中央店(ウィーメックス)
https://www.wemex.com/



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