第56回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会副会長
川上純一
和歌山県薬剤師会常務理事
山本雅子
本分科会では、医薬品の安全使用について焦点を当てる。医薬品安全については、調剤やその準備段階での取り組みから投与後の有害事象への対応までの幅広い観点で留意すべきことがあり、われわれ薬剤師には深い理解が必要である。
はじめに、「今日から減らす!事例で学ぶ調剤エラー防止策」の著者で産業カウンセラーである荒井なおみ先生から「人に焦点を当てた調剤ミス対策を考える」と題して講演いただく。人間関係・個人特性・職場等の環境などの様々な視点から調剤ミス防止への対策や考え方についてご解説いただく。
次に、兵庫県薬剤師会の吉田太郎先生から「患者メリットの最大化につながる薬剤師連携」について講演いただく。兵庫県薬剤師会と兵庫県病院薬剤師会とで取り組まれている適正使用と事故防止に向けた情報共有についての事例をご紹介いただく。
後半では、日本病院薬剤師会の林昌洋先生から「重篤副作用疾患回避マニュアルの利活用」と、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の大澤智子先生から「適切なリスク管理に向けたPMDAの取り組みについて」お話しいただく。前者は重篤副作用疾患回避マニュアルについて、厚生労働省医薬安全対策課委託事業として患者・一般の方向け啓発の目的でアンケートを昨年に実施したところ、それ以前に薬剤師への普及も必要であることが分かったために依頼を受けた講演である。後者は毎年恒例のPMDA共催企画であり、医薬品リスク管理計画(RMP)等の医薬品情報の活用についてご専門の立場よりご解説いただく。
一部の医薬品安全管理責任者では管理者向け講習を年間1回以上受講しているが、多くの薬剤師には医薬品安全に係る研修の機会は少ないかもしれない。医薬品安全は日々の調剤や患者の薬物治療に関わる全ての薬剤師に必要な取り組みであり、日薬学術大会での本分科会をぜひご活用していただければ幸いである。
(川上純一)