第56回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会副会長
森昌平
和歌山県薬剤師会常務理事
太田力与子
超高齢社会、多死社会が到来すると共に、個別化医療やリアルワールドデータ利活用が進展するなど、薬局を取り巻く環境は大きく変化してきている。
特に、少子高齢化による社会構造の変化により、慢性疾患を抱える高齢者への病院、薬局のシームレスな対応や地域包括ケアシステムへの薬局の参画が求められている。
改正医薬品医療機器等法では、薬剤師による医薬品の服薬期間を通じた継続的な服薬状況の把握による薬学的管理の実施、服用医薬品の情報を他の医療提供施設の医師等に提供する努力義務が定められ、薬剤師の本質的な役割や対人業務のあり方に大きな変革をもたらす改正となった。
2021年度に厚生労働省で「薬剤師の養成及び資質向上に関する検討会」が開催され、今後の薬局のあるべき姿として、対物中心の業務から、患者・住民との関わりの度合いの高い対人業務にシフトすることにより、薬物療法や健康維持・増進の支援に一層関わり、患者・住民を支えていくことが求められた。さらに「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」では、対人業務のさらなる充実が重要なキーワードとして検討されると共に、ICT化への対応、地域における役割について検討された。
超高齢社会に伴う人口減少が進み、高齢者を中心とした医療ニーズが極大化することが見込まれる中、薬局間連携等により薬局の質を高め、薬局薬剤師が地域包括ケアシステムを支える重要な医療職種として活躍することが期待される。
そのような中で、本分科会では、和歌山県立医科大学薬学部教授である赤池昭紀氏に基調講演を頂戴し、厚労省医薬・生活衛生局総務課薬事企画官の太田美紀氏、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長である山口育子氏、そして、日本薬剤師会副会長の安部好弘氏と、それぞれの立場からの意見や情報をいただき、現場で活躍する薬剤師にとって有益な分科会になればと考えている。
(太田力与子)