高い専門性でニーズに応える‐CATツールも自社開発
サン・フレアは、新薬開発のグローバル化に伴う翻訳品質の要求水準の高まり、多様化するニーズに柔軟に応えられるサービス体制が特徴だ。ライフサイエンス事業本部統括本部長の尾崎淳氏は、「昨今ではグローバル開発に伴い、メディカルライティングを行いながらグローバルレビュー用の翻訳を並行して依頼いただく機会が増えるなど多種多様なニーズが出ているが、弊社はニーズに合わせた最適なサービス提供ができる」とアピールする。
同社は、製薬企業、アカデミアなど様々な企業・団体の専門文書の翻訳、メディカルライティングなどを手がける。ライフサイエンス分野特有の用語や言い回しを理解し、製薬OBなど専門人財を多数擁し、サービス体制を支える。日本製薬工業協会加盟企業の9割以上と取引実績があるという。
近年のサービスニーズについて尾崎氏は、「新薬開発がグローバル化していることで、治験関連文書および承認申請文書の翻訳ニーズはますます高まっている。最近では、納期の短縮、コスト削減の要求に加えて、納品後の訳文チェックの省力化のために品質に対する要求も厳しい。そのようなニーズに柔軟に応えられる点が、私たちの最大の特徴」と説明する。
各領域における専門性の高いドキュメントにおいても、複数の機械翻訳エンジンと自社開発を含む翻訳支援ツールを活用することで、柔軟に工程を設計できる。
同社は、人の判断を迅速かつ正確に行うため、翻訳支援ツールの活用・開発に力を入れている。
その背景を尾崎氏は、「一般的には人手翻訳および機械翻訳のように大別されるが、翻訳者による人手翻訳であろうと機械翻訳であろうと、人間(=翻訳者)による内容や専門用語を含む訳文のチェックが必須。その人手翻訳や機械翻訳後のポストエディット作業における用語や用例のチェック・確認には使いやすい用語および用例検索ツールが必要になる」と解説する。
同社は、文脈に応じたコロケーション(連結語句、連語)による訳し分けを手助けするデータベース、CATツールやMT(機械翻訳)エンジンには馴染まないファイル形式の文書でも用語を統一するツール、用語や定型フレーズの繰り返し表現が多い文書に適した一括置換ツールなど、医薬文書の実務経験に基づいた様々な翻訳者支援ツールを開発している。
では生成系AIの利活用についてはどうか。尾崎氏は「翻訳業界でまだ様子見の段階」と見ている。理由として「特に翻訳業務には、生成系AIの利用時における注意点(品質リスク、セキュリティ、法的・倫理的な観点)があるため安易に利用ができない。特に品質面では、AIハルシネーション(学習データに基づいて、実在しない情報や特徴を生成する現象)や文化的な背景・常識のない文章を生成してしまうことは、現状の技術では根本的な解決は難しいとの見方も見受けられる」と指摘する。
最後に「ドキュメントCRO」をうたう同社に今後の取り組み方針を尋ねた。
尾崎氏は「製薬OBを含む専門性の高い人財と、CATツールなどを自社開発できるエンジニアを多数抱えていることが、私たちの強みだ。機械翻訳、たとえ生成系AIを活用しても、人の目を通して適切なドキュメントを作成することが重要と考えており、お客様の要求するスピードでサービスを提供することにより、医薬品開発に貢献したい」と力強く語った。
サン・フレア
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