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【文科省】ES等の使用に抵抗感”再生医療研究で意識調査

2006年08月31日 (木)

 受精胚から作られるES細胞や胎児由来細胞を用いる再生医療研究に対し、積極的に推進すべきとする人は約2割にとどまり、行うべきではないと答えた人も約1割いることが、文部科学省の研究班による市民調査で分かった。一方で骨髄や臓器の細胞を用いた再生医療研究は、ES細胞などを用いる研究に比べて推進すべきとの意見が多く、受精胚を壊すことや中絶胎児の利用に、国民が強い抵抗感を持っていることが示唆された。

 調査は、文科省科学技術振興調整費「先端医科学の認知に向けた社会的基盤調査」(主任研究者:小林英司自治医科大学教授)の分担研究「再生医療の認知に関する市民アンケート」により行われたもの。対象は、ヒト組織の研究利用に取り組むHAB協議会の市民シンポジウム参加者を対象に、217人から回答を得た(回答率49・8%)

 それによると、「再生医療」を見聞したことのある人は80%。「ES細胞」も76%が知っていると回答した。

 その上で「ES細胞」「胎児由来幹細胞」のほか、骨髄や臓器などにある細胞に由来する「体性幹細胞」「間葉系細胞」を用いた再生医療研究を推進すべきか否かを聞いた。その結果、体性幹細胞、間葉系細胞を用いる研究には、「積極的に進めてほしい」がそれぞれ41%、50%と半数近くに上った。

 しかしES細胞、胎児由来幹細胞を用いる研究では、「積極的に進めてほしい」がそれぞれ24%、22%と約2割にとどまった。「行うべきでない」は共に約1割おり、「なるべく行わないでほしい」と合わせると、それぞれ20%、16%に達する。体性幹細胞や間葉系細胞と比べ、否定的意向が強く表れている。

 「慎重に進めるべき」とする意見は、ES細胞、胎児由来幹細胞、体性幹細胞、間葉系細胞のいずれの研究でも約4割を占めた。

 ES細胞、胎児由来幹細胞に否定的な回答をした人からは、受精卵の滅失を伴うこと、中絶胎児由来であることが主な理由として挙げられた。 胎児由来幹細胞には、中絶問題と絡むため否定的な意見もある一方、脊椎損傷やパーキンソン病などへの治療可能性から、研究・実験的治療を行うべきとする意見もあり、どちらにも多くの意見が寄せられた。

 研究途上の医療に必要な対応を聞いたところ、最も多かったのが「医師の説明」(159人)だったが、次いで「補償制度」(133人)が挙がった。そのほか100人以上が求めたのは「第三者説明」「相談窓口」「参加取り止めの保証」だった。



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