田辺三菱製薬の葉山夏樹社長は、2008年度決算説明会の会見で、新社発足(07年10月)後の社長在任期間を振り返り、「効率的な組織・コスト構造の構築など、08‐10中期重点課題の取り組みで、着実な成果を挙げてきた」と評価した。その一方で、C型肝炎やメドウェイのデータ差し替え問題にも言及し、「この二つの問題は、最重点の経営課題として次の代に託したい。社会から信頼される企業として、時間をかけて歩んでいってもらいたい」と語った。
08年度のコストシナジーは114億円(人件費30億円、販管費66億円、製造原価18億円)で、合併以来累計で127億円を創出。「これまでコストシナジーで想定以上の実績を上げているが、これから先は、胸突き八丁になる」との予測を示した。
また、バイファにおけるメドウェイのデータ差し替え問題については、「4月27日に調査委員会を立ち上げた。社内での原因究明と再発防止作業を徹底して、『メドウェイ注25%』の販売再開に尽力し、その後に『同5%』の再申請に取り組みたい」と述べた。
3剤の競合品が販売されているレミケードの販売戦略については、「クローン病とベーチェット病は順調だが、関節リウマチでは、レミケード投与後4~8週で出現する効果減弱による他剤への切り替えが弱点になっている」と指摘。「現在、4週投与時点で、レミケードを増量できる用法・用量の申請を行っている」と対応策を示した上で、「レミケードの特徴を生かしながら、同剤が必要な患者さんの拡大を行い、リウマチ治療薬のリーダーとしてのポジショニングを確立したい」と強調した。08年度のレミケードの売上高は374億円(対前年比30・9%増)
また、ジェネリック医薬品事業の推進では、「09年度の売上目標として90億円」を明示。今年4月の田辺製薬販売、長生薬品合併による販売体制強化で、「114成分の品揃えと、MR120人体制を構築した」と報告した。
ジェネリック医薬品販売の基本姿勢にも言及し、「薬価差をネグレクトしたい」と明言。「患者さんにとって安価で安心できるジェネリックの普及に努めたい。その主旨を、医療機関に理解していただくまで、ある程度時間がかかっても仕方がないと考えている」と述べた。