厚生労働省は11日、薬局や店舗のない離島の居住者と、同一の医薬品を継続使用する者に限定して、第3類薬以外の通信販売を2年間の期限を設けて認める省令改正案を「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」に報告した。委員からは積極的な賛成意見は出ず、検討会として容認することを避け、行政の責任で対応することとなった。パブリックコメント手続きを経た後、改めて検討会の意見を聴いた上で、今月中に改正省令を公布し、6月の改正薬事法の完全施行に間に合わせる。
省令改正による経過措置は、[1]離島居住者向け[2]継続使用者向け--の2種類。いずれも店舗販売業の特定で、郵便等販売を行う旨の届け出や販売記録の作成・保存が求められる。
離島居住者に対する措置は、薬局製造販売医薬品と第2類薬について、薬剤師または登録販売者による対面販売の原則から除外するもの。ただし、薬剤師が電話等で情報提供すると共に、離島居住者からの相談に応じることが条件になる。なお、薬局製造販売医薬品は、漢方等の伝統薬に限らず、薬局の通常設備で製造可能な医薬品で、リスク分類としては第2類薬または第3類薬を想定している。
継続使用者に対する措置では、改正省令前に購入した医薬品と同一の薬局製造販売医薬品と第2類薬について、使用者から情報提供が不必要との意思を確認した場合、薬剤師等が対面しなくても郵便等により販売できる。
検討会では、へき地や店舗購入が困難な障害者が、措置の対象に含まれないことを疑問視する意見が出た。また、使用履歴の把握が困難なため、継続使用者の範囲が無制限に拡大することへの懸念が示された。
これに対し医薬食品局の川尻良夫総務課長は、「過去に誰がどの薬を使っているというのが分かっていることが前提。使用者が情報提供は不要と主張しただけでは厳しい」と述べた。