ノボノルディスクファーマの肥満症治療薬「ウゴービ皮下注SD」(一般名:セマグルチド遺伝子組み換え)が22日に日本で発売された。GLP-1受容体作動薬の初の肥満症治療薬で、治験では投与68週時に13%の体重減少、40%の内臓脂肪面積の減少が認められた。IQVIAによると肥満症治療薬市場は今後5年で年平均24%以上と急成長が見込まれる領域。他方、GLP-1製剤の不適正使用が広がっており、同社も強い懸念し、「ウゴービ」の販売初期段階は適正使用を図るため段階的に広めていく方針だ。
効能・効果は、「肥満症。ただし、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合に用いる」。その上で「以下に該当する場合に限る」とし、「BMIが27kg/m2以上で、二つ以上の肥満に関連する健康障害を持つ、もしくはBMIが35kg/m2以上」と定めた。
最適使用推進ガイドラインによると、食事・運動療法などの必要な治療を6カ月以上実施しても効果がない患者が適応となる。
投与は週1回。具体的には成人を対象に、0.25mgから投与を開始し、その後は4週間の間隔で、週1回0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgの順に増量し、以降は2.4mgを週1回皮下注射する。
「ウゴービ」の発売は同社の今年度の目玉事業であり、昨年には「肥満症事業本部」を新設していた。
販売開始にあたり同本部長の清水真理子氏は「ノボノルディスクはGLP-1製剤が不適正使用されていることを非常に懸念している。『ウゴービ』を最適使用推進ガイドラインに従って、確実に適正使用を推進していけるよう、規制当局、医療従事者および卸売販売業者の皆様と協力しながら、発売の初期段階において『適正使用をより確実に推進すること』『新たな肥満症治療のモデルケース事例を積み上げていくこと』のために、段階的に活動させていただく」とのコメントを発表した。
同日の発売会見で清水氏は、流通について「全ての卸売販売業者と仕事させていただいているわけではない」と述べたが、具体的にどの社の流通を使っているのかは明かさなかった。
不適正使用対策としては、処方や流通制限をかけることはできないため、適応外使用施設などの情報収集と規制当局との情報共有などを行っていると説明した。
キャスパー・ブッカ・マイルヴァン社長は、会見で「見た目やダイエットのためではなく、厳しい状況にある深刻な慢性疾患を持つ肥満症の方をサポートしたい」と強調した。
薬価(1キット)は0.25mg1876円、0.5mg3201円、1.0mg5912円、1.7mg7903円、2.4mg1万0740円。
薬価算定時の中医協資料によると予測市場規模はピーク時の5年目に10万人、販売額は328億円。