1999年に設立された日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は今年、活動開始25周年という節目を迎えた。その間、ドラッグストア業界は右肩上がりの成長を遂げた。25年前に約2兆6000億円だった売上高は、直近の2023年度ドラッグストア実態調査結果(速報値)によると9兆2022億円まで拡大。総店舗数も00年度調査時に1万1787店舗だったものがほぼ倍増し、23年度調査では2万3041店舗に到達した。
この飛躍的な成長を牽引してきた要因の一つとして、JACDSの存在があることは間違いない。振り返ると、JACDS設立のルーツは、96年に実施された通商産業省(現経済産業省)のドラッグストア調査研究になる。
同研究がまとまったことを受け、ドラッグストア産業化推進実行委員会が発足。同委員会がドラッグストア産業化推進センターとなって活動を重ね、協会設立の気運が高まり、同年6月16日にドラッグストア経営者らの手によってJACDSが設立された。
設立以降、ドラッグストア業界の規模は成長を続けてきたが、JACDSにとっては全てが順調だったわけではないだろう。その間には、様々な問題や課題が発生してきた。特に、2020年からの新型コロナウイルス禍の影響はドラッグストア業界も例外ではなく、JACDSも対応を迫られた。
しかし、結果的にコロナ禍は生活者のドラッグストアに対する信頼や信用を高めたと言えよう。未知の感染症に誰もが戦慄する中、地域生活者のことを考え、寄り添う形で営業を続ける努力を多くの人が目の当たりにした。
生活者にとって、今やドラッグストアは日々の生活において、“なくてはならないインフラ”となっており、地域に根差した仕事や取り組みが地域生活者を惹き付け続けている。
また、JACDSの評価を高めている一因には、震災など有事への対応の迅速さがあるように思う。1月1日に発生した能登半島地震への対応も素早く、OTC医薬品の提供、避難所への搬送や健康相談に関する有資格者の派遣などの被災地支援に迅速に動いた。こうした姿勢を生活者たちは見聞きしており、ドラッグストアへの一層の信頼・信用、またJACDSへの評価へとつながっているのではないか。
近年、JACDSが掲げる目標に「ドラッグストア業界の2025年10兆円産業化」というものがある。23年度調査で既に9兆円を超えており、目標達成の可能性は極めて高い。
JACDS設立から25年。その間に社会的認知を得て、コロナ禍において生活者の信頼・信用を獲得したドラッグストアへの期待は、今後ますます高まるだろう。JACDSのもとで一致団結し、さらなる貢献と成長を遂げてもらいたい。